ほしとたいようの診察室
第9章 ひとときの外出
「あーらら。大丈夫、落ち着いて。バイタル測ってから手伝ってあげるから」
そう言いながら、テキパキとわたしの腕に血圧計を巻いていく。
指には酸素濃度を見るモニターをつけ、脇には体温計が挟まれる。目にも止まらぬその速さに、一瞬だけ準備のことを忘れる。
「わたし、顔、変じゃないかな……?」
我に返って尋ねると、
「だいじょーぶ。かわいいよ。深呼吸してくれる? 血圧上がりすぎると外出できなくなっちゃうから」
叶恵さんに余裕で嗜められる。
「はい……」
ひとつ頷くと、しおしおと項垂れながら手を休める。
「うん。数値は大丈夫そう」
叶恵さんは諸々を測り終わると数値を記録してから、こちらも慣れたようにメイク道具を手に取った。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える