ほしとたいようの診察室
第9章 ひとときの外出
1日の自由。
何をしようか、どこへ行こうか、散々考えた。
大きなショッピングモールに行くこと、温泉に行くこと、遊園地に行くこと、海に行くこと……派手な行き先は、一通り想像した。
しかし結局やりたかったことは、これだった。
料理がしたい、ということ。
手を動かしたかった。
入院中、出された病院食をそのまま食べるだけの生活だった。それは確かに楽だけど、辛いことでもあった。
本当は、わたしが作っているはずの食事だったのに。ご飯の時間になるたびにそんなことを思ってしまう自分もいた。
食べた後に、吐いてしまう日もあったから、なおさらに。
自分のために、自分で料理を作って食べたい。というのはひとつの理由にすぎなくて。
ずっとお世話になっていた陽太先生に、精一杯の手料理でお返しするのはどうだろう。
そんなことも考えていた。
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