
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
『ようたせんせ! のんちゃん、ごはんぜんぶたべた』
プラスチックのご飯茶碗は、うさぎの絵が描いてあって、なかなか食事量が増えないわたしのために、先生が選んでくれたものだった。
『おお! のんちゃん、えらいねぇ!』
にっこりと笑いながら、大きな手で必ず撫でてくれて。その手がすごく好きで、いつも褒められるのを待っていた。
『お薬も飲めるかな?』
『……おくすりいらない』
『のんちゃんのために、甘くしてあるから、きっと飲めると思うけれど。のんちゃんはお利口さんだからなぁ……』
陽太先生がゼリーに薬を混ぜる。チョコレートの味がすることを知っていたから、先生の手元を覗き込むために近寄った。
『ほれ、あーんしてみ』
……わがまま言ってごねても、優しくしてくれたのは陽太先生だった。
