
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
『いやーーー!!! もうやらないの!!! ゆうせんせ、きらい!!!』
病室の中を走り回って、とにかく治療から逃げることもあって……。
『こらこら、のんちゃん、走らないよ。何が嫌なんだ? ん? お話してみな』
両手を力いっぱい振り回して拒否するわたしを、落ち着かせるように軽々と捕まえて、膝の上に抱き上げた。
『いやなのーーー!!!! きらいなのーー!!!』
逃れようと暴れてみても、しっかり抱き抱えられてしまって、じたばたしていた手足を、先生の体温に落ち着かせるしかなかった。
『うん、ほら、嫌なのも嫌いなのもわかったから。ちょっと落ち着け』
ぽんぽんと、ゆっくりとしたリズムが心地良くて、体を預ける。
『だって、……いたいんだもん、きのうもきょうも、いたいの……やだ』
『うん、ごめんな。痛いのばっかり頑張らせて』
……背中を撫でながら、ゆっくりと声をかけ続けてくれたのが優先生だったと思う。
