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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 219 ぞんざいには扱えない…

「うん、そう、良かったわ…」

 そしてそう応えてきたきよっぺの大きな瞳に今度は『愁い、憂い』の色ではなく、なんとなくだが『安心感』的な色が見えてきたのだ。

 安心感なのか…

 安心感とは…

 私はそんな彼女の瞳が表している色について考える。

 安心感…

 つまりはこのフェラによる射精の快感により、とりあえず私を繋ぎ留められたと思っている安心感…
 
 それは逃げようとしている鳥を捕まえ、押さえた様な安心感…
 そんな感じなのだろうか。

 いやそれとも、ただ単に、私に対する昔の、あの頃の様な献身的な愛情の自己満足からの安心感なのだろうか…

 よくは分からないのだが、とにかくきよっぺの目からは『愁い、憂い』の色はすっかり消え『安心感』という色が宿っていたのだ。

 それはある意味…
『生理でもこうして気持ち良く愛してあげるから、また明日も、明後日も、こっちに居る間はずっと逢いたい…』
 的な、きよっぺからの無言のメッセージに感じたのである。

 そしてまるでそれは、毎日でもと盛っていた10代の若いオスの欲望を持て余していたあの頃を、こうした性の快感で繋ぎ留めていたあの昔の、あの頃の、あの感情と同じ…
 そう思えていたのだ。

 私はもうそんなには若くないのに…

 そして裏を返せば、そのきよっぺの想いはそんな感じに昔の感情の感覚を戻してしまう程に、再び、必死に、私を愛してきているのだ…
 とも、思えていたのである。

 やはり…

 やはり、彼女も律子同様な存在に、そしてこの先のアキレス腱になりそうだ…
 そうザワザワとした想いと、そんな不思議な罪悪感が湧いてきていた。

 アキレス腱…

 なぜならば、やはりこの私がきよっぺに対しての想いを再燃させてしまっており、もしもまたこの先に再び誘われたり、言い寄られてしまったならば、決してぞんざいには扱えない、いや、絶対に粗末に、蔑ろには出来ない事を十分と自覚しているから。

 これは愛、愛情といえるのかもしれないし、逆に全く違う感情なのかもしれない…
 だが、今は良く分からないでいた。

 ただ確実に分かっている事は、この目の前に居る彼女を、きよっぺをこの先、いや、これから先、絶対にぞんざいには扱えない…
 と、いう事なのである。






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