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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 227 きよっぺの着信

 そんな優柔不断な私は…
『なるようになれ…』
 と、愛の甘さに酔いしれ、溺れ、そう思ってしまい、そしてきよっぺの肩を抱きながら、唇を、舌を、甘い唾液を貪っていく。

「あ、は…」
 そのキスに心が震え、蕩けてくる…


 ブー、ブー、ブー、ブー…

 その時であった、きよっぺの携帯電話が着信をした。

 時刻は午後11時…

「あ、あら…」
 彼女にはその電話の着信は意外な様で、そんな呟きをして、唇を離し、携帯電話を手に取る。

 私は私で、時間的にゆかりからの着信だと一瞬思ってしまい、ドキッとしてしまった。

「はい、もしもし…」
 そしてきよっぺは立ち上がり、電話に出ながら寝室へと入っていく。

「あ、明日の……ね……」
 そんな彼女の声が漏れ聞こえてきてくる。

 そして私も自分の携帯電話を確認しながら
 そろそろゆかりから電話が掛かってきそうだな…
 そして携帯電話を見つめ、ビールを一口飲みながらそう思う。

「はぁ、面倒…」
 そうポツリと呟きながらきよっぺがリビングに戻ってきた。

「ほら、明日13日は入り盆じゃない…
 でさぁ、お墓参りの話しをさぁ…」
 どうやら実家を継いでいる弟さんからの明日のお墓参りの確認の電話だそうである。

「お盆てさぁ、面倒くさいよねぇ…」
 そう呟きながら彼女は隣に座り、私の顔を見てくる。

「あ、うん、ほら、きよっぺの家は地元の名家だから、しょうがないんじゃないの?」
 そうきよっぺの実家の『本田家』は地元の名家なのだ。

 代々、大地主であり、祖父は建設業を営み、しかも県会議員を長年勤め、父親もその建設業の2代目で市会議員、そして母親は地元市民病院の元看護師長…

「うん…
 でもさぁ女のわたしにはさぁ、それに出戻りだからさぁ、本当はあんまり関係ないしぃ…」

「いや、それは…」

「それにさぁ、親戚が色々とさぁ、出戻りについて煩くてさぁ…」
 と、本当にうんざり…みたいな顔をしてくる。

「確かに、親戚には煩いのが多いよなぁ…」
 そう言うと、彼女は頷いた。

「じゃ、オレも明日オヤジの10回忌でさ、朝早いからそろそろ…」
 そう言って立ち上がる。

 帰るにはちょうど良いタイミングでもあったのだ…

「う、うん…」
 すると、やや、寂しそうな声を漏らしてきた。

 


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