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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 234 そこに居る美女

「あっ…」

 そして私はその振り返った女性の顔を見て驚き、絶句してしまう。

 そこには…
 
 なんと…




「り、律子…」

 そう、律子が居たのだ。

 ドキドキドキ…

 な、なんで律子が…

 ドキドキドキ…

 心が一気に高ぶってきた。

 ドキドキドキ…

「え、な、なんで…」

 あまりの驚きと、高ぶりの動揺に言葉が続かない…

「うふ、こっぺおじちゃん、こんにちは…
 あ、まだ、おはようかしら…」

 あの、私の心をいつも震わせ、揺さぶり、心を昂ぶらせてくる律子特有の甘い声が聞こえてくる。

 間違いない…

 間違いない、本物の律子だ…

 律子が居る…

 な、なんで…

「もぉ、そんなに驚かなくてもぉ…」
 久しぶりの、いや、約一週間振りの美しい顔が、満面に笑みを浮かべて目の前に居るのだ、驚かない訳がない。

 しかも、全くの予想外、いや、予想などするわけもない…

 なぜならば、ここは東京ではないのだ、私の実家のある田舎の、栃木県の、それも『○○ゆうえんち』のプールなのでだ…

「あっ…」
 その時、一昨日に律子と交わした電話の内容が浮かんできた。

『そこって○○ゆうえんちがある所ですよね?…』
『小学生の時に遠足で…
 あと、一度家族旅行でプールに遊び行った事があります…』
 等の会話が蘇ってくる。

 だが、それだけでここに来たというのか?…

「そうなんです、思い切って遊びに来ちゃったの…」
 私がそんな一昨日の会話を思い浮かべたのが分かった様で、そう言ってきた。

「いや、だが…」
 
 そうなのである、それは分かったのだが、なぜに…

 なぜに、このプールなのか…

「え、いや、子供の頃にこのプールに家族で来た事があったから、懐かしくて、それに…」
 …それに、はなからまさか会えるとは思ってなかったし、逢えなかったら帰ればいいかと、だから気楽にプールに遊びに来るつもりで来ましたの…

 やはり、律子には、私の考え等は直ぐにお見通しなのだろう…
 私がそう思い浮かべ、考えた事に対して的確に答えてくるのだ。

「そ、そうなんだ…」

 私はやや呆れ気味にそう呟いた、いや、違う。

 やはり…

 やはり律子は、私に、私のカラダの何処かに、GPSを仕掛けているに違いない、いや、間違いない…

 


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