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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 244 『律子七不思議』の一つ

「じゃあさぁ、わたしが子供達を送って帰るから、こうちゃんとりっこさん二人はご飯でも食べに行きなよぉ」
 午後4時になり、帰る準備をしているとノンがそう言ってきた。

「あ、いや、それはマズいよ」
「えー、なんでぇ」

「いや、一応、この子達をちゃんと帰すまではさぁ…」
 そうなのだ、無事に帰宅させるまでが責任なのである。

「あ、実はわたし、グランドホテルに部屋を取ってあるんです」
 すると律子がそう言ってきたのだ。

「え、そうなのか?」
 私はその律子の言葉に驚いてしまった、なぜなら、ホテルを取っていた事は知らなかったからである。
 
「あ、はい、今日まさか本当にこのプールで会えるとは思っていなかったので、一日ゆっくりこの辺りで過ごして、明日ここから日光でも遊びに行こうかなぁって思っていたから…」
 そして律子はそうも言ってきたのだ。

 本当にアグレッシブだ…
 と、驚き、そして感心もしてしまう。
 
「え、もしかして一人で?…」
 私はそんな律子に思わず問い掛ける。

「え、あ、はい…
 本当はここに来た事も、プールで会えなかったら知らせるつもりはなかったんです…」

「え、そうなんだ…」
 そんな律子の言葉にも驚いてしまう。

「はい、そうなんです…
 ただ、アナタの田舎の空気を感じたかったから来ただけだったので…
 あ、もちろん会えるに越した事はないですけどね…」
 と、やや照れくさそうに言ってきたのである。

 アナタの田舎の空気を感じたかったって…

 まず律子のそんな言葉に驚いてしまう。

 そして
 そんなに私のことを…
 と、心が震え、揺さぶられてしまっていた。

 どうしてそこまで律子は私の事を想ってくれているのか?…
 これは私の中の『律子七不思議』という想いの一つでもあるのだが、ノンが傍らに居るから、今、ここで訊く訳にもいかない。
 
 しかし、こうまで想いを言葉にされると本当に心が揺れてしまう…

 そしてもう一つ、このアグレッシブともいえる律子の行動力にも内心驚いていたのだ。

 律子は本当に一人でも平気なんだなぁ…
 私が今まで過去に付き合ってきた女性達の殆ど皆は、そんな一人で遊ぶ、旅行する等の女性はいなかった。

 そしてそんな女性はゆかりが初めてであったのだが、律子もそうなのだ…
 
 

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