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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 5 健太と美冴

「えっ、あ…」
 健太が敏感に反応してきたのだ。
 そして、すっかり動揺している感じであった。

 まさか…

「まさか、美冴さんじゃないわよねっ」
 と、すかさずツッコむ。

「えっ、あ、いや、違いますよっ」
 だが健太は慌てて否定をしてきたのである。

 えっ、違うのか…

「ま、それはそうか…」
 
 そして、そうか、いくら昨日の今日の美冴さんとの感じでも、こんな速攻での京都旅行はあり得ない…
 そう思い直したのだ。

 じゃあ誰と京都旅行なんて行くんだ?…

 ましてやお盆休暇中での京都旅行なんて、かなり前から予約をしていないとなかなか宿のキープもままならない筈なのである。

 あっ、そうか…
 すると、わたしはハッと気が付いたのだ。

「ああ、アレかぁ、この前一緒にいた時の電話の女かぁ」

 そうだ、そうに決まっている、あの時の電話の女だろう…

「えっ、あっ…」
 すると健太はドキッとしてきた。

 やっぱりそうか、ズバリだ…

「あ、はい…そうなんですけと…」

「けど…何よ…」
 そう言って健太の目を覗き込む。
 すると健太は一瞬で、オロオロと慌ててきたのである。

 昔から、健太は、こんなわたしの強気で、やや高飛車な反応に弱かったのだ…

 特に、わたしが強気に、こんな覗き込む様な感じで見つめると、すぐにこうしてドキドキと動揺をして、目を泳がせてくる。

 まるで、こんなわたしのこの目に、健太の心がすっかりと呑み込まれてしまったかの様に弱々しく、そう、まるでひれ伏すかの様な感じになってきたのだ…

「なるほどねぇ…」
 するとなんとなく、そんな健太の迷いの意味が分かったのである。

「美冴さんとのアレで迷ってるのねっ」

 そうズバリ、言った…

 きっとこの前の電話の女と、美冴さんとの切り替えがまだ出来ておらず悩んでいるのであろう…
 こんな健太の様子で分かったのだ。

 おそらくそうに違いない…


「駄目だからね、美冴さんを泣かしたらさぁ」

 健太が美冴さんと付き合うのは、もちろん構わないし、いや、逆に賛成なのであるのだが…

 だけど…

「駄目だからね、美冴さんは繊細なんだから、大切にしないとさ…」

 大きなお世話なのであるが、美冴さんの事は気になるのだ…




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