
シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング8 部長佐々木ゆかり
121 大原本部長との電話(14)
『いえそんな、当たり前ですから…』
そうなのである、わたしは彼の彼女なのだ…
その愛しい男の母親が病気で倒れたのだ…
心配するのが当たり前…
普通なのである…
『あとどれ位なんですか?』
そしてわたしは彼の現在位置を訊く。
「あ、ええと…あと3、40分位かなぁ…」
『そうなんですか、分かりました…
気をつけて帰ってくださいね…』
その彼の現在位置を訊いて、やはりわたしの待ち伏せ作戦は間違ってはいなかったとは思ったのだが…
こんな状況では待ち伏せ作戦どころでは無くなってしまったのである。
それどころかまたしばらく逢えないという現実を、このタイミングで初めて実感してしまったのであった…
『い、いつまで…ですか?』
わたしはいつまで待ってればいいの?…
と、思わず訊いてしまう。
「うん…
出来れば15日の夜には戻るつもりだ…」
すると彼は暗い声でそう言ってきた。
『はぁ、あと5日かぁ…』
今日は10日である…
「すまないな、父親の10周忌もあるからさ…」
元々の予定は、今日10日に帰ってきて2日間、つまり12日の夕方まで一緒に過ごしたら彼は栃木県の実家に帰省をし、13日に亡き父親の10回忌の法事を済ませ、そして14日か15日に東京に戻ってくる予定ではあったのだ…
つまりは仕方がないのだが、今夜からの2日間の逢瀬の予定が消えてしまったという事になるのである。
本当に仕方がないのだが…
心の落胆の重さを感じてしまう…
『大丈夫です、待ってますね、どうせ、明日も当番で会社に出勤してますから』
だが、務めて精一杯に、そう明るく言った。
いや、明るく言うしかなかったのだ。
理由が理由なのだ…
仕方がないのである…
彼に責任は全く無いのだ…
だから、彼を責める訳にはいかない…
コールセンター部は部署によっては365日24時間無休の部署もある。
その為にこうした大型連休では緊急事態に備えて、当番を決めて社員も出勤する…
だが、本来は、部長という役職はそんな当番には係わらないのであるが、他の社員の負担を少しでも減らそうとわたし自身が言い出した事なのだ。
だけど、こうなると逆に、この当番出勤により明日の寂しさが紛れられるかもしれない…
『いえそんな、当たり前ですから…』
そうなのである、わたしは彼の彼女なのだ…
その愛しい男の母親が病気で倒れたのだ…
心配するのが当たり前…
普通なのである…
『あとどれ位なんですか?』
そしてわたしは彼の現在位置を訊く。
「あ、ええと…あと3、40分位かなぁ…」
『そうなんですか、分かりました…
気をつけて帰ってくださいね…』
その彼の現在位置を訊いて、やはりわたしの待ち伏せ作戦は間違ってはいなかったとは思ったのだが…
こんな状況では待ち伏せ作戦どころでは無くなってしまったのである。
それどころかまたしばらく逢えないという現実を、このタイミングで初めて実感してしまったのであった…
『い、いつまで…ですか?』
わたしはいつまで待ってればいいの?…
と、思わず訊いてしまう。
「うん…
出来れば15日の夜には戻るつもりだ…」
すると彼は暗い声でそう言ってきた。
『はぁ、あと5日かぁ…』
今日は10日である…
「すまないな、父親の10周忌もあるからさ…」
元々の予定は、今日10日に帰ってきて2日間、つまり12日の夕方まで一緒に過ごしたら彼は栃木県の実家に帰省をし、13日に亡き父親の10回忌の法事を済ませ、そして14日か15日に東京に戻ってくる予定ではあったのだ…
つまりは仕方がないのだが、今夜からの2日間の逢瀬の予定が消えてしまったという事になるのである。
本当に仕方がないのだが…
心の落胆の重さを感じてしまう…
『大丈夫です、待ってますね、どうせ、明日も当番で会社に出勤してますから』
だが、務めて精一杯に、そう明るく言った。
いや、明るく言うしかなかったのだ。
理由が理由なのだ…
仕方がないのである…
彼に責任は全く無いのだ…
だから、彼を責める訳にはいかない…
コールセンター部は部署によっては365日24時間無休の部署もある。
その為にこうした大型連休では緊急事態に備えて、当番を決めて社員も出勤する…
だが、本来は、部長という役職はそんな当番には係わらないのであるが、他の社員の負担を少しでも減らそうとわたし自身が言い出した事なのだ。
だけど、こうなると逆に、この当番出勤により明日の寂しさが紛れられるかもしれない…
