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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 261 ドキドキ、ワクワク

「え…あ、はい…
 じゃあ、大田区の…………です」
 と、住所を伝える。

「あ、了解です、じゃあ、うーんと…
 だいたい夕方4時位に着くかな?…
 ねぇ…
 あ…うん、そのくらいに行きますねぇ…」
 どうやら誰かと一緒らしく、一瞬そんな問い掛けをおそらく同乗者に聞き、わたしにそう言って慌ただしく電話を切った。

 誰?…

 あ、そうか、話していた元カレなのか?…

 元カレの運転で亡くなった元彼のお墓参りに行ったのだろうか?…

 でも元彼のお墓参りに元カレと…

 電話を切ってから少しそんな事を考えていたのだが…
 わたしはハッとしたのである。

 えっ…

 あっ、そうだ…

 美冴さんが…

 ウチに来る…

 直行でウチに来るって言ってた…

 美冴さんがウチに…

 ドキドキ…
 一気に騒めきが高鳴ってくる。

 ワクワク…
 そして不思議な感覚の昂ぶりがしてきたのだ。

 美冴さんがウチに来る…

 来宅する…

 お友達の美冴さんが…

 考えるとわたしの今までの人生の中で、お友達が自宅に来宅する、いや、来たという記憶が無いのだ。

 小さい頃はあったかもしれないが…

 でも、記憶は無い…

 初めてお友達が来宅する…

 美冴さんがウチに来る…

 ドキドキ…

 ワクワク…

 高鳴りと昂ぶりが一気に心を震わせてきた。

 ああ…

 どうしよう…

 どうしたらいいのか…

 ああ、どうしよう…

 何をどうしたらよいのか解らない。

 思わずわたしは時計を見る。

 あと約4時間だ…
 
 いや4時間ある…

「あっ、そうだ」
 わたしは思わず声を漏らしてしまう。

「まずは、掃除だわ…」

 そう、掃除をしよう…

 部屋を綺麗にしなくては…

 わたしは料理は苦手、いや、出来ないに等しいが、掃除、洗濯は得意なのだ…

 やはり母親がそうであった…

 料理は苦手だったのだが、いつも掃除、洗濯はきちんとしていたのであった。

 だからなのか、わたしも掃除、洗濯は欠かさずちゃんとしていた…
 のだが、最近は何かと仕事が忙しくて、洗濯はちゃんとしているのだが、掃除はここ最近サボりがちであったのである。

 よし…

 まずは掃除だ…

 美冴さんが来るまでに、部家を綺麗に掃除しよう…

 

 

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