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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 134 8月13日水曜日午前7時

 わたし達は、みさえからのキスにより目覚め、お互いに昨夜の夢の続きの如くに昂ぶり、抱き合いながら夢中になって唇を、舌を貪り合っていた…

 だが、その時であった…

 そんなわたしとみさえの夢の続きから、現実世界へと引き戻すかの様に携帯電話のバイブレーションの震動音が鳴り響いてきたのである。

 ブー、ブー、ブー、ブー…
 
 その震動音は開け放しのベッドルームのドアの向こうから、つまりは、リビングルームから響いてきていた。

 わたしは携帯電話をリビングルームに起いていたから…
『あっ、彼からの電話だ…』
 と、そのバイブレーションの震動音を気付いた瞬間にそう思った。

 そう、帰省している彼、大原浩一本部長からの着信だと思ったのである…

 そして唇を交わしていたみさえも彼からの着信だと思ったらしく、スッと唇を離し…
『電話、どうぞ…』
 と、目で語ってくる。

 そしてわたしはカラダを起こし、部屋の時計を確認しながら立ち上がり、リビングルームへと歩いていく。

 時刻はちょうど午前7時…

 しかし、リビングルームのわたしの電話は着信はしていなかった。

 着信しているのは…

「みさえさんの電話みたい…」
 そう声を掛ける。

 みさえさんのバッグの中から携帯電話のバイブレーションの震動音が聞こえてきていた…

「えっ、わたしなの?」
 と、みさえさんはやや怪訝な声を出しながら、わたしが手渡したバッグから慌てて携帯電話を出して着信を確認し、
「あ……お母さんからだ…」
 そう呟き、電話に出る。

「もしもし…あ…あ、う、うん………」
 するとみさえさんはスッと立ち上がり、電話を耳に当てながらリビングルームの方へと歩いていく。

 そしてわたしは、そんなみさえさんの歩いていく後ろ姿を目で追う。

 その全裸の後ろ姿は美しかった…

 真っ白で…

 細くて…

 しなやかで…



『黒い女』時代に少し痩せ過ぎちゃったの…
 と、彼女は言っていたが、決してガリガリでは無く、程良く美しい。

「……ぇ…ぁ…ぅん……るわよ……」
 わたしは、そんなみさえさんの後ろ姿を眺めながら、微かに聞こえてくる話し声に聞き耳を立ててしまうのだ。







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