
シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング9 美冴とゆかり
137 母親からの電話
わたしはゆかりさんのマンションを出てタクシーを拾い、急ぎ自宅へと向かう。
今日は8月13日入盆である…
10年前に亡くなった父親のお盆のお迎えのお墓参りに行く予定であったのだが…
昨夜のゆかりさんとの昂ぶりの興奮により、すっかり忘れてしまっていた。
いや、正確には昨日の夕方までは覚えていた…
だから、てっきり、さっきの携帯電話の着信はゆかりさんに、彼氏である大原浩一本部長が電話を掛けてきたのだろうとばかりに思っていたくらいであったのだ。
『もしもし…』
『美冴、まさか帰ってくるんだよね』
だからわたしは電話に出た途端に聞こえてきた、そんな母親からの言葉に慌ててしまったのだ。
そして、その母親からの電話により、夢の様な時間から一気に覚め、現実に引き戻された感じがしたのである。
そう、夢から覚めた、いや、醒めた感じがしたのだ…
そして脳裏には一気に、現実の、今日の予定が思い浮かんでくる。
あともう一つ…
焦燥感も浮かんできたのだ。
だから電話では…
『あ、え、も、もちろん帰るわよ』
と、慌てて誤魔化し…
『ふーん、何時に戻るのかしら?』
そんな母親からのやや嫌味な言葉に慌てて時間を確認し…
『8時少しには戻るわよ…』
と、このゆかりさんのマンションから自宅の世田谷エリアまでの地理を思い浮かべ、そう伝えたのだ。
『なら…いいけど…
じゃ、待ってるからね…』
『あ、はい…うん…』
そして、母親からのその
『待ってるからね…』
という、言葉の意味の重さを改めて考えてしまう。
昨年までのお盆は…
『黒い女』状態であったから、もちろんお墓参りなんて行かなかったし、行けなかったのだ…
わたしはゆかりさんのマンションを出てタクシーを拾い、急ぎ自宅へと向かう。
今日は8月13日入盆である…
10年前に亡くなった父親のお盆のお迎えのお墓参りに行く予定であったのだが…
昨夜のゆかりさんとの昂ぶりの興奮により、すっかり忘れてしまっていた。
いや、正確には昨日の夕方までは覚えていた…
だから、てっきり、さっきの携帯電話の着信はゆかりさんに、彼氏である大原浩一本部長が電話を掛けてきたのだろうとばかりに思っていたくらいであったのだ。
『もしもし…』
『美冴、まさか帰ってくるんだよね』
だからわたしは電話に出た途端に聞こえてきた、そんな母親からの言葉に慌ててしまったのだ。
そして、その母親からの電話により、夢の様な時間から一気に覚め、現実に引き戻された感じがしたのである。
そう、夢から覚めた、いや、醒めた感じがしたのだ…
そして脳裏には一気に、現実の、今日の予定が思い浮かんでくる。
あともう一つ…
焦燥感も浮かんできたのだ。
だから電話では…
『あ、え、も、もちろん帰るわよ』
と、慌てて誤魔化し…
『ふーん、何時に戻るのかしら?』
そんな母親からのやや嫌味な言葉に慌てて時間を確認し…
『8時少しには戻るわよ…』
と、このゆかりさんのマンションから自宅の世田谷エリアまでの地理を思い浮かべ、そう伝えたのだ。
『なら…いいけど…
じゃ、待ってるからね…』
『あ、はい…うん…』
そして、母親からのその
『待ってるからね…』
という、言葉の意味の重さを改めて考えてしまう。
昨年までのお盆は…
『黒い女』状態であったから、もちろんお墓参りなんて行かなかったし、行けなかったのだ…
