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　147　ワクワク

「ねえ、ゆかりさん…」

「はい…」

「少し早いけど…」

　早いけど？…

「逢いたいのっ…
　ゆかりさんに逢いたいのっ」

　なんと美冴さんはそんな嬉しいことを言ってくれたのである。

　ああ…

　ドキドキドキドキ…

　その美冴さんの言葉に一気に心がときめいて、昂ぶって…
　涙が出そうになってしまう。

「あ、うん、わ、わたしも…
　わたしも美冴さんに早く、ううん、今すぐ逢いたいです」
　わたしはあまりにも一気に昂ぶり、高まり過ぎて、涙声気味になってしまっていた。

「じゃあ…」
　そして美冴さんがそう言ってきた瞬間に…
「あ、そう、え、映画、映画に行きませんか？」
　と、思わずう言ってしまったのだ。

　そうだ、映画に行きたい…

「えっ、映画？」

「はい…映画です…
　あ、あの…『失楽…』観ませんか？」
　そして勢いで、つい、そう言ってしまった。

「え、あぁ、あの『失楽…』ね…」

　実は、映画なら、いや、美冴さんと一緒に出掛けられるならば…
　何処でも、何でも良いのだ。　

「は、はい…」

「うん、良いわねぇ、ちょうど観たかったしぃ…」

「良かったぁ…」

「じゃぁ、どうしようかぁ」

　そしてわたしはパッと閃く…

「間を取って渋谷はどうですか？」
　わたしは大田区羽田エリア、そして美冴さんは世田谷エリア、渋谷は中間地点といえる。

「渋谷で映画観てぇ、お買い物してぇ、そしてご飯もかぁ…」
　すると美冴さんは、そんな涙が出る様な嬉しい言葉を言ってきてくれたのだ。


「あ、はいっ…」

　そしてわたし達は３時に渋谷で待ち合わせの約束をする。

　ザワザワがドキドキになり…

　そしてワクワクになった…

　まるでデートだ…

　いや、間違いなくデートなのだ…



　ああ、何を着て行こうか…

　どんな化粧をしようか…

　何を食べようか…

　あ、そうだ、お買い物も…

　そう、欲しい服がたくさんあるんだっけ…

　ああ、どうしよう…

　あ、シャワーを浴びなくちゃ…

　ああ、急がないと…

　ああ…

　ワクワクが止まらない…