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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 146 ドキドキ

「映画かぁ…」
 
 美冴さんと映画に行きたいなぁ…

「ふうぅ…」
 わたしはため息をつきながらコーヒーを煎れる。
 料理は出来ないがコーヒー煎れは得意なのだ。
 部屋中にコーヒーの心地よい香りが拡がっていく。

 コーヒーのこの香りは大好きだ、心が穏やかな気持ちになる…

 そしてコーヒーを飲みながら久しぶりにリビングから外の風景を眺めた。

『羽田エリアなんてエグゼクティブですよぉ』

『トレンディドラマみたいですぅ』

『きゃあ、なんて素敵な夜景なんですかぁ』
 等々、一昨夜の鈴木くんの彼女の松山美咲ちゃんの言葉や、昨夜の美冴さんの言葉が浮かんでくる。

 ああ、ダメだわ、何を考えても美冴さんの事が浮かんでしまうわ…

 ドキドキドキドキ…
 そしてザワザワはドキドキというときめく心の想いに戻ってしまう。

 ああ、これ、このときめく想いは…

 そう…

 恋に恋い焦がれる想いみたい…

 わたしはすっかり美冴さんに、恋に落ちた感じになってしまっていた。

 ああ、ダメ…

 美冴さん…

 美冴さんに早く逢いたい…

 そしてまた…

 また…

 昨夜の様に…

 ドキドキドキドキ…

 恋に落ちてしまったようであった…


 
 ブー、ブー、ブー、ブー…

 すると携帯電話が着信する。

「あっ…」
 その着信は美冴さんからであった。

 一気に心が昂ぶってしまう…


「はい、もしもし…」
 ドキドキドキドキ…してきた。

「あっ、ゆかりさん、わたし、美冴です…
 今、電話大丈夫ですか?」
 この美冴さんの声を聞いただけで、心がときめき、そして、昂ぶってくる。

「は、はい、大丈夫です…」

「ああ、良かったぁ…」

「うん…」

「ねえ、ゆかりさん…」

「はい…」

「少し早いけど…」

 早いけど?…

「逢いたいのっ…
 ゆかりさんに逢いたいのっ」


 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…






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