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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 12 秘書への経緯(2)

 ようやく、彼、大原浩一新常務も落ち着いて…

「松下くん、これからよろしく頼むよ」
 と、そうサラっと返してきた。

「はい、大原常務、これからよろしくお願いします」
 そしてわたしも自然に、そう返していく。

「では、わたしはこれで失礼します…」
 そして無事に事無きを得て、田中秘書課長は部屋を出て行った。

 するとすかさず彼が…

「あ、おい、律子くん、これはいったい…
 いったいどういうことなんだ?」
 と、そう問いただしてくる。
 
「え、わたしが大原常務の秘書になっただけですけれども…」
 わたしは務めて冷静にそう応えた。

「あ、いや、だから、なぜに秘書なんだって?」
 確かにその疑問は最もであり、彼はわたしの事などはほとんど知らない訳でもあるから、不安な気持ちは良く分かる。

「はい、いちおう履歴書です」
 だからわたしはその為に用意しておいた一枚の書類を手渡す。

「あ、お…」

 それはわたし自身の簡単な履歴書…
 そしてそれには卒業した大学と、取得しているビジネス資格を明記しておいた。

 これでこのわたしの秘書就任が、ただの山崎専務のおじさまの遊びではないと理解はしてくれるだろう…


「お、おいおい……」
 すると履歴書を読んだ彼は、驚いた顔をわたしに向けてそう呟いてくる。
 

「わたしが、山崎のおじさまにお願いしたの…」
 
「あ、え、や、山崎の、お、おじさま?」

 また驚きの表情になった…

「はい、アナタが、あ、ごめんなさい、浩一さんが常務に就任するって山崎のおじさまから聞いたから…
 何かお手伝いがしたいって、わたしがお願いしたの…」
 
「え…」

 彼はイマイチ、話しが理解できないみたい…
 それに、わたしの山崎のおじさまって言葉にも、かなり驚いているようであった。

 また訳がわからなくなってしまったようだ…

「あ、ち、ちょっと律子くん、よく説明してくれないか?」

「はい、でも、その通りで…
 ただわたしが山崎のおじさまにお願いして…」

 だけど、それは本心では無いのだ…

 実は…




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