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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 13 秘書への経緯(3)

 彼は、いや、大原浩一新常務は、また訳がわからなくなってしまったようであった…

「あ、ち、ちょっと律子くん、よく説明してくれないか?」

「はい、でも、その通りで…
 ただわたしが山崎のおじさまにお願いして…」

 だけど…

 実は…

 それは本心では無い。


 わたしは…

 わたしは…

 彼を…

 この大原浩一という男を…

 あの女から…

 佐々木ゆかり部長から…

 盗る、獲る、奪うと…
 
 あの一週間前の8月7日の午前二時過ぎの彼女からの電話が彼に掛かった瞬間に…
 そんな衝動が強く湧き起こったのだ。

 
 そしてわたしは次の日の、あの8月8日の記者会見会場に密かに出向き…

 会場内で初めてハッキリと…

 あの女を…

 佐々木ゆかり部長の姿を見て…

 その見た瞬間に…

 更に固く、本気で決意し、決心した…

 それは…

 彼を、大原浩一を、あの女から、必ず盗る、獲る、奪う…と。

 そしてわたしはその衝動を…

 その想いの決意を…

 心の奥底から湧いてくる、その熱い想いの決心を…

 もう抑える、いや、押さえられなくなってしまったのである。

 もう無理だ…




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