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　29　レディスパワー

　越前屋くんは…
　
「元々ぉ、この会社は、あ、いや、生保ってぇ…」
　彼女は、生保に対する熱い想いを語り出してきた。

　そしてその熱い想い、思いの話しは、私にとっては…
　目から鱗が落ちる様な話しであった。


「生保って、どこの生保会社も…
　勧誘する女性達がいて、そしてほぼ、その生保セールスレディの活躍の力で契約が成り立っているようなモノじゃないですかぁ…」

「う、む、うん、そうだな…」

「そしてぇ、その勧誘システムも、セールスレディの仕組み等も大分完成された仕組みになってますよねぇ」

「あ、うん…」
　まだ私は完全にはそのシステムを理解してはいないが、ある程度は分かってはいたし、そんな女性達の、いや、生保セールスレディ達の力によって成り立っているのには違いない。

「こんな男尊女卑の傾向の強かったこの最低の生保会社でさえ、そのセールスレディの仕組み等にはアンタッチャブルで、いや、勧誘システムに関してはそのセールスレディ達に完全に依存していました…」
　
「うん、そうだな」

　そう、この生保会社は優秀な女性社員達ほど虐げられていた…

「だけど、このバブル期が崩壊してしまったこの時期に、単に保険商品、生命保険だけで契約維持や新規契約が取れるのか？…
　いや、これからは色々変えていかなくちゃ難しい…」

　だからこその「新規プロジェクト」のネット型の生命保険商品の開発なのだが…

「はい…
　確かにネット型も素晴らしいし、これからはどんどんとこうなっていくとは思いますがぁ…」

「あ、うん…」

「それだけじゃ、このバブル崩壊後の時代では物足らなく…」

「あぁ、そうかも…」
　
「だから、これからはその生保セールスレディ達を更に有効活用していき…
　生命保険商品を一辺倒に勧めさせるだけではなく…
　生命保険という命への比重プラス…
　そしてその命だけではなく、明日へ続く生活へのプラス比重も必要になってくる…」

「生活へのプラス比重？」