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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 31 底知れぬ律子

 その時不意に、地元の元彼女でありこのお盆休みに突然の再会を果たし、逢瀬を過ごした…
『きよっぺ』こと『本田きよみ』の存在が脳裏に蘇ってきた。

 確か彼女は『CFP』という…
 Certified Financial Plannerつまり、
『サーティファイド ファイナンシャル プランナー』
 と、いうファイナンシャルプランナーの最高資格を有している…
 と、云っていた。

「CFP…」
 と、つい言葉に漏らしてしまう。

「え、大原常務、よくご存知で…」
 そう越前屋くんが食い付いてきた。

「あ、うん、たまたまな、たまたま少し前だけどちょっとだけ勉強してなぁ」
 と、慌てて誤魔化す。

「そうなんですよぉ、その『CFP』資格保持者はなかなかいなくってぇ」

「うん、そうらしいなぁ…
 あっ…」
 そう呟いた瞬間、律子くんと目が合った。

「あっ、いた」

「えっ?」
 すると私のその反応に越前屋くんは気付き、私を見て…
 そして私の視線の先にいる律子くんの姿を見る。

「…だよな?」
 さっき見た律子くんの履歴書の有資格欄に…
 確か『CFP』って書いてあった様な?

「はい…」
 すると、私と越前屋くんの視線を受けて、律子くんは静かに頷き、返事をした。

「ええっ、秘書のお姉さん、あ、すいません、え…とぉ?」

「あ、松下律子です」

「そう、松下さん持ってるんですかぁ」
 と、越前屋くんは踊きの声を上げる。

「はい…
 以前、ビジネスコンサルタント会社に在籍していた事がありまして、その当時に、少しばかりビジネス資格を幾つか取得いたしまして…」

「え、ビジネスコンサルタント会社?」

 確か履歴書には…

「あ、はい、履歴書は省略しておりました」

「そ、そうか…」
 この律子くんは奥が深い…
 あ、いや、底が知れない。

「えぇ、なんで秘書なんか?」
 今度は越前屋くんが驚き、質問を訊いていく。

「え、あ、ま、まぁ、色々とありまして…
 でも、それは越前屋さんも同じ様なものじゃないてすか?」
 と、律子くんは返す。

 確かに…
 国家のエリート官僚の道を蹴っている越前屋くんはそうかもしれない。

「え、ま、まぁ…」
 そして彼女もまた反論が出来ないでいた。

「とりあえずアレだ、そのプランナーの兼の企画書頼むよ」




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