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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 15 出勤

 今朝も日曜日だから電車は空いている筈だ、電車で行こう…

 わたしにはキャリアハイの課長なので、タクシーチケットが配布されている。
 そして以前、わたしは電車通勤をしていたのであるが、その朝の通勤時にかなりの頻度で痴漢にあってウンザリしていたのだ。
 だから今、こういう立場になれたので、普段の通勤はタクシーを利用する事にしていたのである。

 だが、この様な土日での休日の朝の出勤ならば電車はガラ空きである、そして気分転換にもなるので、こんな休日出勤時はなるべく電車通勤をするようにしていた。
 そしてマンションを出て、徒歩5分の駅に向かう。
 朝8時前なのに既に30度は越えているだろう位に暑い。

 ああ、今日も暑くなりそうだ…
 そう思いながら駅に歩いていった。



「佐々木課長おはようございます」
 エレベーターを待っていると後ろから杉山くんが挨拶をしてくる。

「おはよう杉山くん」
「なんか課長顔色いいっすね」
「そう、昨夜よく眠れたからかしら…」
 彼はお世辞を言うタイプではない、それが嬉しかった。

「今日もよろしくお願いします」
 杉山くんはそう軽く頭を下げながら言ってきたのだ。
 今日も一緒に二つのテレビ局に行くのである。

「なんか僕達って、いいコンビっすよね」
「すぐ調子に乗るっ」
 こんな軽い杉山くんは嫌いではなかった。

「あっ、オヤジがよろしく言ってました」
「あらぁ、そうなの…」
 昨日初めて知ったのだが杉山くんのお父上はお台場テレビ局の報道局長なのである、そう言われて悪い気はしない。

「はい、課長のこと気に入ったっぽいっす」
「あら嬉しいわ…」
「あんな嫁さん貰えって…」 
「もぉ、すぐそうやってオチをつけるんだからぁ」
 だが悪い気はしなかったのだ、逆にこんな杉山くんはかわいいとさえ思えていた。

 なんとしても、この杉山くんの為にもこの新規案件を上手く導かなくては
 彼のこれからの大きなステップアップの礎になるはずだから…
 そう杉山くんを見て思っていたのだ。

 そして他の営業課員二人とわたしと杉山くんの四人で打ち合せと確認等を兼ねての会議をする。
 わたしと杉山くんは、この後向かう二つのテレビ局に渡す資料等のチェックをしていく。









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