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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 20 ロッキー…(6)


「ん…」

 そのロッキーのスムーズな手の感触に小さく震え、本当に遊び馴れている感じが伝わってきて…
 わたしは期待でドキドキと昂ぶりを感じてきていた。

「………」
 そしてロッキーの顔を見る。

 すると…

「『お姫さま』はさぁ、大学デビューだな」
 と、突然、しかもズバリと言い、そして言い当ててきたのだ。

「え、な、なんで?」
 なんで分かるの?…
 とは、訊けなかったのだが、おそらく顔に表れたのだと思う。

「いや、だってあの大学だろう?
 あの大学はボーっと遊びまくっていたらとても入れないじゃないか」

「え、な、なんで?」
 なんでわたしの大学を知っているのか?とも、訊けなかったのだが…

「いや、オレもさ、同じ大学出身だからさ、良く分かるんだよ」

「あ、で、でもわたしは付属からだから…」
 そう、わたしは『幼稚舎』と呼ばれる、幼稚園からの付属のエスカレータ組である。

「いや、付属だって遊んでばっかりはいられないじゃんか、オレも同じだから」
 と、彼、ロッキーは笑みを浮かべながらもまだ、脚を撫でてきていた。

「それにさ、あのサークルを立ち上げたのオレらの代だからさ」

「え、そ、そうなの?」
 
 あのサークル…
 つまりは深夜バラエティテレビ番組で取り上げられる位に世間では注目を浴びている通称『ナンパサークル』の事である。

「そうだよ、オレらが初代…」
 と、爽やかで、穏やかな笑みを浮かべながら呟いてきた。

「あ、そ、そうなんだ…」

「あぁ、だから『ゆかりお姫さま』の事もある程度知ってるのさ」

 そうなんだ、先輩なのか…

 不思議な事に、いや、間抜けには違わないのだが、この先輩だというだけでなんとなく安心してしまい、緊張感も和いできたのだ。

 本当に私は、今考えれば間抜けでバカな、ホント、ただ運が良いというだけだったのだとつくづく思われた… 
 ひとつ間違えればどれほど危険な事なのかと。
 
「だけど『ゆかりお姫さま』はホントいい女だなぁ…
 今からゆっくりと愉しもうぜ」
 
 そんな軽く、軽薄な言葉なのだがなぜかこの時のわたしは…
 すっかりとこの彼の大人の余裕というか、なんとなく感じる懐の大きさに今迄廻りにハベっている男達、つまりは学生のガキの男達とは全く違う匂い、雰囲気を感じていたのだ。


 

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