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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 21 ロッキー…(7)

この時のわたしはすっかりと、この彼の大人の余裕というか、なんとなく感じる懐の大きさに、今まで廻りにハベっている男達、つまりは学生のガキの男達とは全く違う匂い、雰囲気を感じていたのだ。

 この男ならば…

 もしかしたら…

 今迄のフラストレーションを吹き飛ばす、いや、払拭してくれるかも…

 ワクワク…
 いや、ワクワクが、彼のこの大人の雰囲気に、ズキズキと疼きに変わってきつつあった。

 そしてタクシーはホテルに到着する…


「あっ、んっ」
 チェックインを済ませ、部屋へと向かうエレベーターに乗り、ドアが閉まった瞬間に彼、ロッキーはわたしをすかさず抱き寄せてキスをしてきた。

「……ん…」

 そのキスは一瞬にしてわたしの心を期待でいっぱいに膨らませるかの様に…
 甘いキスであった。

 この男なら…
 期待で心は高鳴り、昂ぶり、そして疼いてくる。

 ガチャ…

「さぁ、愉しもうか」
 ロッキーは部屋に入り、ベッドサイドに座ってそう云ってきた。

 そして自らのバックからメガネケース状の金属製のケースを取り出し…
 中からパイプとアルミに包まれた茶色い固形物をテーブル上に置く。

「これはチョコ、大麻樹脂ってヤッ」

「え?…」
 
「『お姫さま』の知ってるブツとは根本的に違う、最上級、最高級のシロモノさ」

「え?…」

 確かに、わたしの知ってる大麻、マリファナという存在はまるで乾燥した紅茶の葉みたいな形状で、そして少し独特な香りのキツいモノであるのだが…
 本当に根本的に違っていた。

「これを削って、炙って吸うのさ…」

「え?…」

 わたしの知ってるいるモノは、紙巻きタバコ状にして、煙草と同じ様に吸う…

「あんな安物とは全然違うからさ…」
 そうロッキーは呟き、わたしを抱き寄せ、再びキスをしてきた。

「あ…ん…」

 ロッキーは本当に遊び人の様に、いや、相当に女馴れをしているらしく、このキスのひとつだってかなりのテクニック…
 まるで蕩けてしまう様なキスをしてくるのだ。

 そしてわたしはその彼の唇を受けながら…

 このキスだけでイキそうかも…

 そう心を震わせていた。





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