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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 177 彼女の非礼…

「うん、ところで何か用があるんだろう?」
 そう優しい声音で彼、大原常務がその二人に問いかけると…
「あ…は、はい、すいません、こんな朝から、そ、それも、こうして…」
 と、青山一也が言い澱む。

「あ、うん、いや、構わないから…」
 すると彼、大原常務はそう応えながらわたしをチラと見て…
「とりあえずチェックアウトしてから、うん、アソコで話そうか」
 と、ロビーにあるカフェテリアを指差しながらそう言った。

「あ、は、はい…」

 そして彼の『チェックアウトしてから…』という言葉に、わたしの同席の有無を問い…
 彼は目でわたしを促し、そして青山一也も無言で肯定の意思を目に込めてきた。

 ちなみに彼女、竹下雪恵は下を向いたままであった…
 だからわたしはそんな彼女の様子の意味を考えながら、そして急ぎチェックアウトを済ませる。

「あ、コーヒーを4つで…」
 そしてカフェテリアに座り…
「さぁ、何かな?」
 彼が青山一也に問いかける。

「あ…は、はい、じ、実は……」
 すると、何かの合図があったのだろう、ずっと下を向いていた竹下雪恵さんが…
「さ、昨夜は……た、大変失礼しました…」 
 と、小さな声で謝罪をしてきたのだ。

 彼女の昨夜の失礼とは…

 青山一也曰くの、新潟支社恒例の、いや、悪しき慣習であるVIPのお客様な対する、美人秘書による過剰な夜の接待…
 つまりはいわゆる『枕接待』を彼、大原常務にした、強要した事の非礼に対する謝罪の言葉であろうとわたしには想像できた。

 そしてそれは…
 一人で彼、大原常務を待っている間に、わたしをイタリアンレストラン前で待ち伏せし、できる事なら口説き落とそうとしたのだが、失敗し、開き直った青山一也からの会話から聞いていた上でのわたしの想像なのである。

 

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