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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 180 二人の雰囲気

「お、大原常務、その優しいお言葉ありがとうございます…」
 すると、そんな大原常務の大きな優しさの意味を悟り、理解した青山一也が隣から彼女に代わって感謝の意を込めてお礼をしてきたのだ。

「え、あ、か、一也さん?」
 そこで彼女は初めて大原常務の優しく、大きな懐からの言葉の意味を理解したようで…
 そんな甘えた声を漏らしてくる。

「いいんだ、もういいんだよ、ほら、もう一度大原常務にお礼してさ」
「え、あ、は、はい…
 あ、大原常務本当にありがとうございます」
 と、青山一也と竹下雪恵の二人は揃って深々とお礼を言いながら頭を下げてきた。

 本当に彼女は今まで、酷い上司の元で働いていたんだろうなぁ…
 わたしはそんな彼女の様子を見ながらそう思う。

 そしてまた、この二人の様子と雰囲気を見て『昨夜、もしかしたら、ううん、そうみたいね…』
 昨夜、青山一也は彼女とはこの新潟に異動してからはいい関係だった、と、言っていたから、一夜を過ごし、その関係を深めたのだろう… 
 わたしはそう想像してしまう。

「いや、違うよ、悪いのは私達、そう会社側の我々だから」
 そして彼、大原常務はそうきっぱりと言ったのだ。

「えっ」
 そんな彼、大原常務の言葉に青山一也は驚きの、いや、感銘、感嘆の声を漏らしてくる。

「たがら私は、その為にも、これからの為にもこの社内改革を推し勧め、そしてその為にキミを呼びに来たんだから…」

「あ、いや、お、大原常務…」
 青山一也はそんな彼の言葉に更に感激、感嘆、それともう一つ、おそらくは感動の言葉を漏らしてきた。

 そしてわたしはそんな彼の言葉に懐の器の大きさを感じ…
 改めて惚れ直してしまう。

 やはり…
 やはり、わたしの選んだ男は…
 間違いではない。

「お、大原常務、ありがとうございます…
 お、俺は、あ、いや、自分は大原常務に付いていきます」
 そして青山一也はそう力強く言い切ったのだ。

「あ、うん、ありがとう…
 でも、いや、そんなリキまいでさ、本来のキミの力、手腕を発揮してくれればいいんだから…」
 と、熱い青山一也をまるで諭すかの様にそう軽くいなし、彼のリキみを緩めていく。

「は、はい、頑張ります…
 あ、あと、も、もう一つお願いが…」
 すると青山一也は急に言い澱んだ感じになった。



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