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シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

186 一筋の光明…

「えっ、あ、あの『新プロジェクト』ですかぁ?」
 どうやら青山一也は、その大体の概要は越前屋さんから訊いているみたいであり…
 そんな感嘆の声を漏らしてきた。

「はい、そうです」
「あ、少し概要はえっちゃんからは訊いていますが…」
「はい、その『新プロジェクト』に於いての有資格者が絶対的に足らなくて…」
 と、そこまでわたしが言うと…

「営業部時代に勉強して取ったんですよ、将来絶対に必要になる筈だと思ってぇ…」
 彼女、竹下さんにとってはこの有資格の話しに一筋の明るい光明が見えたのだろう…
 それまでの鬱蒼とした表情からパァっと明るい表情に変わっていた。

「正解でしたね、その『FP』資格を盾にすれば、すんなり異動してもさほど問題にはならないか…と」
 と、わたしがそう告げ、大原常務の顔を見る。

「あぁそうだな、それならば、昨夜私が直接竹下くんから聞いた事にして…
 あ、いや、永岡支社長には有無は云わせんよ」
 そう力強く言い切ったのだ。

「え、あ、あぁ、お、大原常務……」
 すると、そんな彼の言葉を聞いた瞬間、竹下さんの大きな目から涙がこぼれ、嗚咽する。

 そしてそんな彼女を抱き締めながら、青山一也が…
「ありがとうございます、相談して、いや、お願いしてよかったです」
 と、感動気味な目をしながら、わたしと大原常務にそう言ってきた。

「よかったですね、資格取っていて…
 でも、そういう事になると…」
 わたしは思わせぶりに青山一也にそう告げると…

「あ、は、はい、俺が責任を持って東京に連れていきますから」
 と、彼女の肩を抱きがら、そう力強く、そしてハッキリと言い切ったのだ。

「あら…」
 わたしは少しだけ羨ましく感じ、そう感嘆し…
 



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