テキストサイズ

シャイニーストッキング

第14章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一

 187 先制バンチ…

「あら…」
 わたしは少しだけ羨ましく感じ、そう感嘆し…
 
「そうか、そうだな、そうしてくれよ」
 と、大原常務はそう言い…

「じゃ、そう決め、いや、決定しよう、うん、そして直ぐにでも二人の辞令が出るようにこっちで大至急段取りするから…」
 と、わたしの顔を確認するかの様に見ながらそう言った。

 それはわたしが大至急手配をするという意味…

 つまりは本社専務である山崎のおじさまに簡単に根回しをし…

 そして…

 そして…

『新プロジェクト』の責任者である準備室室長の『佐々木ゆかり』にもある程度の経緯を話して了解させる…
 という事の意味。

 いくら『新プロジェクト』の大元の最高責任者である大原常務の指示とはいえ、その準備室室長を飛ばして、いや、飛ばす訳にはいかない…
 そしてその経緯を彼、大原常務から直接準備室室長の佐々木ゆかりに話させる前に、できたらわたしから佐々木ゆかりに直接話しをしたいのだ。

 つまりそれがわたしの大原常務専属秘書としての役割、役目であり…
 わたしの方がより彼に身近に居る、存在しているをだ、という無言のアピールにもなるからであるから。

 もう彼、大原常務、ううん、大原浩一の男、オトコとしてのわたしに対する気持ち、思い、想いは今朝、確実に確認した…
 だからこそここで、いや、これから、いいや、今日から先制バンチを決めて、一歩でも優位なリードを取りたい。

 できれば…

 突き放したいから…
 
「はい、かしこまりました、大至急いたしますね」
 と、わたしは大原常務の顔を見ながらそう応え…
 そして次に青山一也と竹下雪恵さん、二人の顔を見回して頷いた。

「あ、松下さんありがとう、よろしくお願いします」

「はい、あ、いえ、全ては大原常務がお決めになった事ですから…」

 これでまた、彼、大原常務には新たなもう一つの大きな、強力な武器が手に入った…
 ましてやこの経緯である、この二人は絶対に裏切りはしない筈。

 そしてわたしにも…

 いや、わたしと彼とのこの先の様々な思い、想いの為にも、一歩先へと歩み始めていく筈になる。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ