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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

17 本当の理由

 大丈夫よ、大丈夫、それにわたしは忙しいんだから…
 戻ったら今度はコールセンター部での『新規事業』のマニュアル作成の件もあるんだし、大丈夫、大丈夫、頑張らなければ…
 そう自分に言い聞かせ、タクシーで再びコールセンター部のへと戻る。

 だが、また再びタクシー内で気持ちが落ち、揺らいでしまうのではないか、と、内心不安な思いがあったのだが…
 なんとわたしは、タクシーに乗るや否や、あっという間に睡魔に襲われ、自分でも気付かないうちに居眠りに陥ってしまったのである。

「……………………」

「……………さん……ゆ…かり……さん…」

「……………ん………ぁ………ぁあ…………」

 わたしは、そんな遥か意識の遠くから、言霊の如くの様な感じの美冴さんからの呼びかけにようやく反応をし、意識を戻した。

「…………ん…ん…ぁ…ぁぁ…っは……」

「…ゆ…かりさん…もう着きますよ…」

「……ぁ…ぁ…ぇ…ぁ…わたし……」
 まだ完全には覚醒しきってはいない意識を必死に奮い立たせ…
「…あ、あ、ご、ごめん、わたし……」
 この無意識の居眠りに戸惑いながら、なんとかそう言葉を漏らす。

「ううん、大丈夫よ、ゆかりさんは忙し過ぎて疲れてるのよ…」
 と、美冴さんはこんなわたしを気遣って、そんな優しい言葉を掛けてくれる。

「あ…い、いえ、あぁ、うん…」
 少しづつ覚醒してきている意識の中で…
 この帰りのタクシーで余計な事を考えないですんだ事に少しホッとしている自分の思いが湧いてきていた。

 そして…
「そうですよぉ、ゆかり室長はぁ、忙し過ぎるんですからぁ」
 と、越前屋さんも明るく言ってくる。

「あ…うん…な、なんか気付かないうちに居眠りしちゃったわ…」
 思わずそう呟く。

「そうですよね、この『新プロジェクト』と並行してのコールセンター部での新たな、大きな『新業務案件』も進んでますからねぇ」
 さすが、元コールセンター部の『黒い女』の美冴さんである、よくこの新たな新業務にも理解してくれている様である。

「え、あ、あぁうん、ありがとう…
 でも大丈夫よ、やりがいがあるからさぁ、平気よ…」

 だけど、そんな抱えている平行する現在進行中の二つの企画だけがこの疲れの理由なんかではないのだ… 
 本当はもう一つの理由があるのだ。

 それは…

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