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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 18 もう一つの理由

 もちろん仕事の疲れはある…
 だが、このタクシーでの居眠りの原因となるもう一つの理由があった。

 それは…
 昨夜の伊藤敦子とのビアンの愛の営み、抱擁の心身共の疲れのせいである。

 昨夜、予想もしなかった流れからの、いや、結果的には昔のあの大学時代のわたしの『黒歴史』が由縁といえる不思議な繋がりからのビアンの展開となってしまった…
 そのまさかの想いもよらない展開からの疲れであり、また、ただでさえ彼、大原浩一という愛しい存在とのままならない最近の日々の心の葛藤と、蒼井美冴さんという大切な存在とのやはり想いもよらない流れからのビアンの関係を持ってしまったという心の揺れ、揺らぎという想いに、また伊藤敦子という新たな存在感が加わってしまったことにより心が迷宮に陥ってしまうような心の迷いからの疲れといえた。

 それらの相乗による心身共の疲れが一気ににわたしを襲ってきたといえるから…
 そして内心、いや、今朝の出勤まで、いいや、こうして伊藤敦子という存在感を感じた瞬間から、ザワザワと心が激しく騒めき、揺れ、波立ち、そして微かな疼きまでもが心の奥深くの中で感じてしまっているのだ。

 そんな騒めきと揺らぎを自覚した時わたしの心の中に…
 愛しい彼、大原浩一が…
 まだ見た事もないのであるが心を揺らがす存在である秘書の松下律子が…
 初めての友人として、また、心の通じる信頼できる大切な存在となった蒼井美冴さんが…
 そして新たに心身をも疼かせてくる伊藤敦子という存在が…
 現れ、一気に脳裏をぐるぐると巡ってくるのである。

 だけどわたしは…
 そんな心が迷宮に陥ってしまう淵の端スレスレに立っている様な錯覚を覚えながらも、なんとかかろうじてギリギリの淵野端に踏み止まれてはいた。

 そしてこれはこの仕事の多忙さにより、深く深慮せずにいられる要因ともいえるのだが…  
 でもそれはまるで、いつ切れでもおかしくはない様にピンと張り詰めているギリギリの状況ともいえる。

 だけどそのギリギリの状況を唯一救ってくれ、食い止めてくれている存在が…

「さぁゆかり室長ぉ、着きましたよぉ」
 この越前屋朋美という理知的で明るさと朗らかさを兼ね備えたそんな彼女の存在なのであった。

 もう既に何度となく、いっぱいいっぱいに陥った想いを彼女に救われていた…



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