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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 66 切り替え…

 そしてわたしはなんとか気持ちの切り替えをし、奮い立たたせ、急務である新規業務のマニュアル作成をいつもの、いや、本来のコールセンター部の営業メンバーと共にこなしていった。

 今回の新規業務は従来のコールセンター業務とは真逆な内容であり、未知の世界といえる業務ともいえるから、そのマニュアル作成の難しさがかえってわたし自身の気持ちと思考が集中でき…
 さっきまでの昂ぶりとモヤモヤとした感情の揺らぎを忘れさせてくれるのだ。

 そして今回のこの新規業務の中心となっている杉山くんの明るさや一生懸命さというキャラが、新プロジェクト企画である保険業務での越前屋さんという存在感と妙にわたしの中では被り、一致し、なんとなく心を軽くしてくれるのである…
 だからわたしもスッと切り替えができ、集中できて、時間の経過もあっという間に過ぎていく。

「ふぅぅ、もうあっという間にお昼っすねぇ」
 そう、いつの間にかにお昼の時間を迎えていた。

「あ、そうだ、わたし午後からは向こうの保険本社に行かなくちゃならないからさぁ…」
 
「はい、大丈夫っすよ、もうかなりいい感じっすからぁ」
 と、杉山くんは明るく言う。

「そうね、後は松崎さんのマニュアル冊子と同じ内容でも弊害は無さそうよね?」

 そう、オリジナリティなマニュアル部分はかなり進んだのである…

「はい、午後からはそこらを皆と検討し、擦り合せしていきますっす」

「うん、それでお願いね、じゃ、わたしは向こうに行くから」
 と、そう告げて、とりあえず間借りしているプロジェクト企画室のある第二会議室へと向かう。

「お疲れさま、越前屋さんと蒼井さん、また午後から向こうに行きますよ」
 と、声を掛け…
「とりあえず向こうに行っちゃってからランチしましょうよ」
 
 わたし達三人は取り急ぎ、外に出て、タクシーを拾い、新橋にある保険本社へと向かう…
 この忙しさとバタバタ感が逆に、わたしの心の揺らぎを一時的とはいえ忘れさせてくれ、そして心と気持ちを落ち着かせ、整理させてくれるのだ。


 

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