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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 133 昂ぶりの余韻(3)

 膝頭に走る一本のストッキングの伝線のスジを見た瞬間に…

 必死に抑え、押さえていた心の扉が壊れ…

 ズキズキズキズキ…

 一気にカラダの奥深くが疼き、メスの本能に支配されたもう一人のわたしという未知の存在が…
 また、再び、顔を出してきたのである。
 
 それは、わたしの28年という人生の中での初めての感覚…
 感情…
 欲望…
 いや、欲情。

 ズキズキズキズキ…
 昂ぶりは余韻ではなく、激しい疼き…
 カラダの疼きとなってわたしの心を揺さぶってくる。

「ふうぅ……」
 そしてソファに座り、安堵の吐息を漏らしながらタバコを吸っている彼、大原浩一常務というオトコの後ろ姿が目に入ると…

 ズキズキズキズキズキズキズキズキ…
 更に激しく昂ぶりの疼きが増してきた。

 ああ…

 ああ、わたしは…

 わたしは、このオトコが…

 このオトコが欲しい、この疼きを…

 初めてのメスの本能といえる、未知のもう一人のわたしが…

 このオトコが欲しいとメスの疼きで伝えてくる。

 ズキズキズキズキズキズキズキズキ…

 今だかつてないほどの、激しい独占欲という衝動が心を揺さぶり…
 メスの疼きが思考を支配してきつつある、いや、支配され……た。

「……………」

 カツ、カツ、カツ…
 と、無言でヒールを鳴らし、給湯コーナーから常務室のドアへ早足で歩き…

 ガチャ…

 常務室のドアの鍵を閉じ、そして振り向き、彼を見つめる。

「あ、ん?」
 
 すると彼は…
 メスの本能に支配された、もう一人のわたしという、彼にとっても未知の、見た事も、感じた事もない雰囲気を察したのであろう…
 そんな不惑な声を漏らし、揺らいだ目を向けてきた。



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