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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 47 甘い香り……

「うふ…だってまだ……
 ネクタイさえもしたままなんですもの……」
 そう、まだわたしたちは服を着たまま…
 わたしはスカートのみ、そして彼はネクタイさえも外してはいなかったのである。

 お互い、あまりにも夢中に昂ぶり、興奮してしまって…
 いや違う、ストッキングラバーには服やストッキングを脱ぐという選択肢はない。

 この…靴下、下着の類いであるストッキングを愛し、愛でる事で性的欲求や昂ぶりが満足するのだから脱ぐ意味がない…
 そして、その匂いが媚薬のスパイスとなるわけなのだから。

「ほら、外してあげるわ…」
 わたしは、二度目の絶頂感の余韻に浸りながら、少しそんな彼の姿が可笑しく、そしてネクタイを外してあげようと胸元に手を伸ばす。

「あ、う、うん…」
 すると彼は目を細め、頷いた。

「趣味のいいネクタイね…」
 そしてわたしは、結び目をほどきながらそう囁く。

「そ、そうか…」

「ええ、いつもセンスいいなって思ってたわ…」
 そうそれは、大原浩一をオトコとして意識し始めた時からいつも思っていたし…
 そしてそのネクタイセンスの裏からは…
 オンナの存在の匂いを嗅いでもいた。

「あ…ぁ…うん…ふぅん…そう……か…」
 わたしはネクタイをスッと外し、そんな意味を込めた目で呟くと…

「え、あ、いや、ネクタイは………」
 なぜか彼は、少し動揺の色を浮かべてくる。

 多分、このわたしの素直な褒め言葉が…
『ゆかりさんか、あの松下秘書のセンス?』
 なのか、という嫌味にでも聞こえたのだろう。
 
「うぅん、いいの…」
 だからわたしは、他意は無い…
 そんな意味で、唇を寄せ、キスをして口を閉じさせた。

「ぁ………」
 そしてそのまま彼に寄りかかり、唇を外し、胸元に顔を寄せ…
「脱がせてあげるわ…」
 ワイシャツのボタンを外していく。

「ふうぅ、ふうん…」
 すると、ボタンを外し、胸元が開くと、彼特有の甘い香りが…
 微かに漂い、心を揺らがせてくる。

 本当になぜか、彼の体臭は微かに甘い香りがする…

「ふうぅ……」
 わたしは吐息を漏らし、開いた胸元に顔を寄せ…
「本当に、甘いわね……」
 と、囁く。

「あ……う……」
 
 そして続けて…

「少し……混ざってるけど……ね………」

 今度は本当の嫌味を呟いた…


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