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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 111 愛してる…(2)

 本当はぐちゃぐちゃに壊したかっただけ…

 だって心に蠢く欺瞞は…
 ひがみという心の歪みの素因は…
 大原浩一という存在感のせいだから。

 初めて抱かれたあの夜からアナタを愛してしまったの…
 不思議な因果の導きなんてそんな事は屁理屈にしか過ぎない。
 
 本当に惹かれ、抱かれたかった…
 亡きゆうじの導きなんて、心を誤魔化す為のただの言い訳。

 心の奥に生まれた愛は燻り続け…
 完全には消せなかった。

 大原浩一、アナタを愛している…
 その想いは消すことができない。

 ただ、順番が…
 ううん、ゆかりさんが先だっただけ…
 そしてゆかりさんにも惹かれ、魅かれ、大好きだったから…
 壊したくなかったから。

『リハビリならいつでも付き合うよ…』
 そう…
 わたしはこの心の暴走の『リハビリ』という言葉に、自分を誤魔化した。
 そして我慢し、心を律し、敢えてゆかりさんと心を交わし、深めていったの。

 だってそうすれば、アナタへの想いが薄まると思ったから…
 だから敢えて、武石健太という存在も受け入れたの、ううん、愛したの…
 でも…
 ダメだったわ…
 もちろん、今は健太を愛してはいる。

 だけど…
 今日、あの松下秘書との対峙により、全ての抑制のブレーキが壊れ…
 そしてまた、輪廻の巡りを意識した瞬間に…
 ゆかりさんに対しての『ひがみ』という醜い欺瞞の感情が一気に爆発してしまった。

 だって、アナタだけではなく…
 健太も…
 松下秘書も…
 『新規プロジェクト』や『コールセンター部』等々、つまり、全ての因果がゆかりさんという魅力溢れる存在を中心に結ばれ、廻っている…
 その事実に気付いてしまったわたしは劣情に心が翳り、覆われてしまった。

 それが、あのカフェ『波道』で生じたアナタへの強い独占欲を生み、略奪という衝動を抱かせ…
 そして、今夜の逢瀬となった…
 だけど生まれた欺瞞の想いは、激しく、醜く、わたしの心を狂わせ、苦しめた。

 そして愛しているが故に…
 秘かにアナタからの愛を感じていたが故に…
 ぐちゃぐちゃに壊されてしまった。

 だからこそ…
 アナタもぐちゃぐちゃに壊したくなったの…

 本当にアナタを愛しているわ…
 
 でも、この愛は…

 壊滅的な絶望の愛情…………


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