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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 130 ストッキングという存在…

「み、みさえ…」

「い、いや、ば、バカ、や…」
 そんな力のない言葉が精一杯の抵抗…
 もはや、抱かれている身体からはすっかり力が抜け落ちてしまい、成すがまま。

 唇から愛を流し込まれ、彼の右手がゆっくりと胸を撫でてくる…

「ぁ…ゃ…ん……」
 それが誤魔化しの愛撫だと分かってはいても、なぜか、心とカラダは抗えず、いや、なぜかゆっくりと溶けてしまう。

「み、みさえ…」
 そして、わたしの名前を囁きながら…
 慈愛に満ちた優しい目で見つめ、ゆっくりとその右手を胸から下へと撫で、這わせてくる。

「ん、や、だ、ダ…メ…ぇ…………」
 わたしは必死に逃げようと、身を捩る…
 いや、捩っているつもりなのだが、彼の右足がわたしの左脚を抑えていたから…

 ううん、違う…
 
「あぁ、や……だ、ダメ…ぁ……ば、バ………」
 彼の右手が、まだ片脚だけストッキングを穿いていた右脚に触れ、撫でてきたから…
「ぁぁ………ん……ゃぁぁ…………」
 その右脚から…
 その撫で、愛撫してくる右手指先から…
 最後の抗いの心が溶けてしまい、完全に力が抜けてしまったのである。
 
 まだ右脚だけ穿いている、ボロボロのストッキング…
 それは辛うじて残っている、わたしの抗いの心の象徴。

 だから…
 例え、この彼の指先から伝わる想いが、虚飾に満ちた欺瞞の愛だと分かっていても…
 わたしは…
 このストッキングという限りなく薄いナイロン繊維を纏っている脚を愛撫されてしまうと心が溶け、彼と融けてしまうから。
 
 そう、それは彼の欺瞞と同じように…
 そのストッキングによって本当の自分を、虚飾に飾ってしまうから。

 だからわたしは、そのストッキングを纏った偽りの脚を、愛でられたくはなかったのである…
 なぜならストッキングという存在は、わたし自身の象徴であり、自尊心だから。

 いくらボロボロになっていたとしても…
 わたしの絶対秘密の本当の、醜い虚飾の欺瞞を着飾って、隠してくれるから。

 だって…
 性癖の嗜好は、ウソをつかないから…
 そして彼は…
 わたしのストッキングが一番愛していると言ってくれたから。

 だから…
 彼とわたしはひとつに融け合い…
 そんな誤魔化しのウソの囁きにも、心が喜悦の震えを起こしてしまうのだ。

 
 

 

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