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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 30 キス

「…いや、ゆかりは最近ホント可愛いくなってきたなぁ…」
 優しい目をして言ってきた。

「ちょっと前迄はそんな感じじゃなかった様な…」
「ええ、そ、そうですかぁ」
 ああ…
 と頷いたのである。

「堪らないよ、可愛いくなってきたよ…」
 この感じがいいよ…
 目がそう囁いてきた。

 わたしは素直に嬉しかった、本音はこの変化に戸惑っていたからである。

「それにたまにはいいじゃないか…」
 わたしはその言葉に黙って頷いた。
 そして浩一さんは本当に今夜わたしを抱けないという事には落胆していない様なのが、よく伝わってきたのである。

 そうよね、この前とは状況も違うしね…
 この前とは、いつものホテルでの、いつもの逢瀬の時にシャワーを浴びていたら急に生理がきてしまった夜の事である。

 あの夜とは違うのだ、逢瀬の間が空いていたから…
 だからわたしは初めての脚コキというモノをして慰めたのだ、だが、今夜は違うのだ、つい四日前に愛し合ったばかりなのだ。

 そんな若くはないって事か…
 わたしはふとそう思い笑みを浮かべてしまう。

「あ、今の笑みはなんかアレだなぁ」
「えっ、いや、そんな事はないですよ…」
 こんな会話も新鮮で楽しかったのである。

 時刻はあっという間に過ぎ、間もなく午後11時半になろうとしていた。
 
「明日も忙しいんだろう…」
 それにこのバーも零時で閉まる。

「たまには早く帰るか…」
 そう言ってわたしの肩を軽く抱き、会計を済ませてエレベーターに乗る。
 エレベーターはわたし達だけであった。
 すると浩一さんはわたしをスッと抱き寄せ、唇を寄せてきたのだ。
 そして舌を絡め、吸い、わたしへの愛情を注いでくる様なキスをしてきた。

「あ…ん…」
 そのキスにわたしの心は震え、蕩けてしまうのである。
 残念な事にエレベーターはあっという間に1階ロビーに到着してしまう。

「あ……」
 唇が離れた瞬間に後ろ髪が引かれる思いがした。

「たまにはいいだろう、その代わり…」
 次に逢った時は燃えちゃうから…
 そう笑いながら耳元で囁いてきたのである。

「もお…」
 そう呟きながら離れた時であった。

  あっ…







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