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シャイニーストッキング

第5章 絡まるストッキング4 和哉と美冴1

 56 5年目、あれから…(42)

 もう寝ようか…

 だが、まだ心がザワザワと騒ついていた。
 本当は和哉にものすごく遭いたかったのだ。
 昼間、実家にいても、ふと和哉のことが想い浮かんでしまっていたし、そして帰りの電車内では、何度も何度も和哉のポケベルに連絡しようとしては必死に堪えていたのである。
 まだ和哉は高校生だから携帯電話は持ってはいなかった。
 その想いはまるで恋をし始めたばかりの10代の恋わずらいのようであったのである。
 しかし

 せっかく区切りを付けようとしたんだから…

 わたし自身、そう必死に思い堪えたのだ。
 そしてもう一つ現実的なことがあった、それは疲れである。
 さすがにわたしには4日連チャンはキツかったのだ。
 精神的にも上がったり、下がったり、かなり揺れ動いたという事もあったのだが、なによりも肉体的な疲れが一番キツかったのである。

 さすがに体力では高校生には適わない…
 年齢の差を微かに感じていたのだ。
 そして明日は朝9時からパートなのである、今夜はゆっくり休みたい、というのが本音ではあった。

 ただその反面、昨夜、なんとか開き直れて心が軽くなった分、和哉に逢いたいという気持ちも強く湧いていたのだ。
 
 だが、我慢なのだ…
 
 わたしが色々と考えて、導かなくては…
 明日以降の、これからのわたし達の為にも今夜は我慢なのである。

 そして本当に疲れていた…
 わたしはベッドに横になった瞬間に、寝落ちした。




「美冴さぁん、おはようございますぅ」

 次の日のパートは朱美と大学生アルバイトの早苗と一緒で、和哉はお休みであった。

 朱美はわたしの4歳下の28歳、二人の子供がいる主婦である。
 目がクリッとした丸顔のいわゆるタヌキ顔という感じで、明るく、愛嬌があり、そしておしゃべりであった、だが、そんな明るいキャラなので昼間の常連客受けがよく、たまにそのお客達と遊んでいる、と、本人が言っていた。

『わたしぃ、元ヤンでぇ、いわゆるヤリマンなんですぅ…』
 自分でそう話してくるくらいなのである。
 だが仕事でしか交流はないのだが、仕事中に話す朱美の話しは面白く、わたしには害は全くないので嫌いではなかった。

 そんな朱美が、大学生アルバイトの早苗が休憩に入った時にわたしに話し掛けてきたのだ…




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