テキストサイズ

シャイニーストッキング

第5章 絡まるストッキング4 和哉と美冴1

 80 5年前、あれから…(66)

 駅前の一番大きなホテルの最上階のイタリアンレストランに入った。

「ちょっと待ってて、チェックインしてくるから…」
 コース料理を注文し、フロントに向かう。
 今夜、和哉とこのホテルに泊まるつもりであった。
 そして生理で出来なくてもこのかわいい、愛する和哉を抱いてあげて、愛してあげて、たくさん感じさせてあげるのだ。
 でないと、とても一人では今夜の長い夜を過ごす事など出来そうにもなかったからである。

 てきれは和哉に抱かれ、愛され、アソコがまた痛くなる程にめちゃくちゃにされたかった。
 だが、生理中だから仕方がない。

 でも、和哉の快感はわたしの快感なのだ…
 彼の悦びはわたしの愉悦なのである。


「すごく美味しいです」
「そう、よかった…」
 和哉は嬉しそうな顔をしてコース料理を堪能していく。
 だがわたしは食欲が湧かなくイタリアンワインばかりを飲んでいた。

「あの…大丈夫ですか…」
 料理には少ししか手を付けずにイタリアンワインばかりを飲んでいるわたしを気づかい、そう声を掛けてくれる。

「うん大丈夫、ありがとう…」
 なんか食欲が湧かなくて…
 わたしはそう呟いた。

 今日、一方的に理不尽な理由でいきなり離婚をさせられ、着の身着のまま家を出て、こうして和哉と逢っているのだ、食欲などあろう筈がない。

 何かあったんですか…
 和哉の目がそう訊いてくるようである。

「…………」
 それについてはまだ何も話したくはなかった。

 心配してくれている気持ちが伝わってはくるのだけれども、今は話したくはないし、まだ精神的に話せる状態ではないのである。
 仮にここで、このイタリアンレストランの中で話してしまったら、この和哉の優しい目を向けられてしまったならば、今のわたしの精神状態では涙が止め処なく溢れてしまい、嗚咽して、いや、号泣をしてしまうかもしれないのだ。

 それにさすがにこの問題は、まだ高校生の和哉には、いや、普通の大人の男にだって手に負えない問題なのである。

 和哉にはどうにもならない事なのである…

 ただ、こうして一緒に居て、過ごしてくれればよいのである、そして、眠る時に傍らにいてくれて

 わたしの肩を…

 カラダを…
 
 心を…

 抱いて…

 抱き締めてくれればよいのである…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ