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シャイニーストッキング

第5章 絡まるストッキング4 和哉と美冴1

 79 5年前、あれから…(65)

 ピクピクはビクビクに変わり、そして

 ビクッ、ビクッ、ビクッ…

 と、徐々に震えが大きくなってきていたのである。

 ダメよ、漏らしちゃ…
 
 そういう意味を込め、亀頭部分を撫でいる指先を離し、根元の肉茎をグッと握る。

「ふぅぅ…」
 和哉は小さくため息を漏らす。

 すると映画はいつの間にか佳境を過ぎてラストシーンに近づいてきたようであった。
 既にわたしには映画の内容などどうでもよくなっていたのだ、わたしは全神経をこの和哉に触れている指先に集中し、それ以外の視覚、聴覚等は全てシャットアウトしていたのである。

 すべての想いはこの和哉に、この和哉のきれいなペニスに集中していたのだ…

 そして映画は終わり、スクリーンにはエンドロールが流れ始まっていた。

「これしまって…」
 わたしはここで初めて声を出す。
 和哉は黙って頷き、こっそりとジーンズのジッパーを上げていく。
 そしてわたし達は互いに求め合うかのように手を繋ぎ、映画館の外に出たのだ。

「お腹空いたよね…」
 そう和哉に訊く。

「あ、はい…」
 複雑な笑みを浮かべて返事をする。
 わたしには勿論その彼の複雑な笑みの意味は分かってはいた。

 こんな中途半端に刺激をし、昂ぶらせ、モヤモヤのままなのだから…

「わかってるわよ…」
 わたしはそんな意味を含めた笑みと目で和哉を見つめる。

「でも、まずは腹ごしらえしないとね…」
 わたしがそう言うと、勿論、聡明な彼には意味が通じたようである。
 和哉はコクンと頷いた。

 子供なのに…

 まだ高校生の少年なのに…

 和哉にはこんな全てを理解してくれる聡明さがちゃんとあるのだ…

 決して若さだけの欲望の暴走はせずに、しっかりと状況を観察し、把握し、的確に判断をする、こんな聡明さが、わたしが和哉に対してあっという間に心惹かれ、魅了されてしまった一つの理由でもあったのである。
 
 そしてもう一つ…

 今日、わたしが待ち合わせのカフェで突然の涙を溢してしまい朗かにいつもとは違う様子なのに、わたしが話したくない、という事をちゃんと察してくれて一切余計な事は訊いてこずに、優しい目だけを向けてくれている、こんな大人な和哉に更に魅了されているのである。

 いや違う、愛している…





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