
シャイニーストッキング
第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太
1 1997年8月8日金曜日午前9時
「ええっ、健太だったんですかぁ…」
わたしはコールセンター部の大原浩一本部長が元使っていた部長室で、彼の電話を受け、そう驚きの声を上げていた。
その大原本部長の電話によると…
どうやら今回の蒼井美冴さんの突然の主任指名の裏には武石健太の推しがあったせいだという。
そして武石健太は山崎専務の甥っ子であり、健太自身にはスパイ的な自覚は全く持ってはいない…
と、いうことであったのた。
まさか甥っ子とは…
確かに健太、オリオンの大学時代は山崎健太であった。
まさか甥っ子とは予想だに、いや、想像すらできなかった…
「だが、専務はさ…」
専務側とわたし達側の両側で上手く健太を使おう…
そうまで云ってきたんだよ…
と、やや興奮気味に大原本部長は話してきたのだ。
両方側で健太という存在を上手く利用、使う…
それは一体どういう意味が込められているのか。
わたしには今イチよく理解ができなかった。
「それだけ専務はゆかりのことを高評価しているって事なんだと思うよ…」
彼はそう云ってくる。
「高評価ですか…」
「うむ、つまりは…」
…つまりは今回のこの吸収合併により新たに打ち出した、画期的な新形態の生命保険という、これからの未来に向けての先駆け的なこの「新規事業計画」の成功も失敗も、私を通り越しての、ゆかり次第の能力に掛かっているという事を山崎専務は理解しているんだよ…
「そしてその為には協力は惜しまない…」
という事なんだと思う…
と、大原本部長は力説する。
「それにこのプロジェクトが成功したならば…」
山崎専務は多大なる評価と、本社内での成功報酬、つまりは出世が確約されているのだから…
「そしてその成功はゆかりの、更なるステップアップへと通じていくんだから」
ステップアップ…
そうか、そういう意味もあるのか…
「でも、もし失敗したら…」
わたしはそう問いかけてみる。
「その時は…」
私のクビが飛ぶだけさ…
と、自嘲気味に、いや、自虐気味なのだろうか、そう呟いたのだ。
「ま、どっちにしてもゆかり次第ってことさ」
そうなんだ…
「ええっ、健太だったんですかぁ…」
わたしはコールセンター部の大原浩一本部長が元使っていた部長室で、彼の電話を受け、そう驚きの声を上げていた。
その大原本部長の電話によると…
どうやら今回の蒼井美冴さんの突然の主任指名の裏には武石健太の推しがあったせいだという。
そして武石健太は山崎専務の甥っ子であり、健太自身にはスパイ的な自覚は全く持ってはいない…
と、いうことであったのた。
まさか甥っ子とは…
確かに健太、オリオンの大学時代は山崎健太であった。
まさか甥っ子とは予想だに、いや、想像すらできなかった…
「だが、専務はさ…」
専務側とわたし達側の両側で上手く健太を使おう…
そうまで云ってきたんだよ…
と、やや興奮気味に大原本部長は話してきたのだ。
両方側で健太という存在を上手く利用、使う…
それは一体どういう意味が込められているのか。
わたしには今イチよく理解ができなかった。
「それだけ専務はゆかりのことを高評価しているって事なんだと思うよ…」
彼はそう云ってくる。
「高評価ですか…」
「うむ、つまりは…」
…つまりは今回のこの吸収合併により新たに打ち出した、画期的な新形態の生命保険という、これからの未来に向けての先駆け的なこの「新規事業計画」の成功も失敗も、私を通り越しての、ゆかり次第の能力に掛かっているという事を山崎専務は理解しているんだよ…
「そしてその為には協力は惜しまない…」
という事なんだと思う…
と、大原本部長は力説する。
「それにこのプロジェクトが成功したならば…」
山崎専務は多大なる評価と、本社内での成功報酬、つまりは出世が確約されているのだから…
「そしてその成功はゆかりの、更なるステップアップへと通じていくんだから」
ステップアップ…
そうか、そういう意味もあるのか…
「でも、もし失敗したら…」
わたしはそう問いかけてみる。
「その時は…」
私のクビが飛ぶだけさ…
と、自嘲気味に、いや、自虐気味なのだろうか、そう呟いたのだ。
「ま、どっちにしてもゆかり次第ってことさ」
そうなんだ…
