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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 5 挨拶…

「とりあえず、今日、山崎専務に上手く執り成してね…」
 そんな事は云われなくても分かっている。
 ましてや叔父さん、いや、山崎専務はこの大原本部長と佐々木ゆかり部長姫の事はかなりの高評価をしているのだ。

 俺にはこの二人の事を、叔父さん自身の切り札的な懐刀、と、まで話してきたのてある。

 それには異存はなかった…

 その位に大原本部長の、いや、このゆかり姫、佐々木ゆかり部長の活躍は素晴らしいモノがあったのだ。

 そして俺達は、本社の一番大きな会議室である記者会見場に着いた。
 バブル崩壊の様々な弊害の時期の中の久しぶりに明るい経済的な話題でもあり、かなり沢山の記者達、報道関係者が集まっていた。

 そしてすぐに記者会見が始まった。

 正面壇上には山崎専務、大原本部長、吸収合併された保険会社の社長と専務の四人が揃い、記者会見が始まる。

 バシャッ、バシャッ…
 沢山のフラッシュと、無数のカメラのシャッター音が鳴り響いていた。

 俺は初めて見る生の記者会見に興奮を覚えてしまう。

 男なら、男なら、一度はあの場所に立ってみたい…

 そう心から思ってこの記者会見を見ていた。


「凄かったねぇ…」
 簡単な質疑応答が終え、記者会見が無事に終了したのは予定時刻を15分程、過ぎた頃であったのだ。
 そして佐々木ゆかり姫はそう呟いていた。
 だが、彼女の目も、この記者会見の興奮なのか、目を輝かせていたのである。


「おう健太、来たのか…」
 記者会見が終わり、一段落した辺りで山崎専務は甥っ子である俺の姿を認め、そう声を掛けてきた。
 既に俺が甥っ子であるという手の内はバラしてあるから堂々と声を掛けてきたのである。

「あ、叔父さん、こちら佐々木ゆかり部長です」
 俺がそうゆかり姫を紹介する。


「初めまして、佐々木ゆかりです、この度は大変お世話になって…」
 そう彼女が挨拶をすると。

「そうか、初めてだったかなぁ、なんか、初めての気がしないよ、いつも君の話しはこの大原くんから訊いているからなぁ…」
 そう一気に話してきたのである。
 まだ、どうやらさっきの記者会見の興奮の余韻が続いているようであった。

「あっ、そうそう、この質疑応答のマニュアルも凄く助かったよ、礼を言うよ…」
 手にした書類を見ながらそう話してきたのだ。





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