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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 12 注目度

「うん、俺も10日から13日まで忙しくて…」
 咄嗟に嘘が口から出たのだ。

「あ、そうなんだぁ、お盆て面倒よねぇ」

「あ、は、はい…」

「じゃあさ、14日から遊ぼうか…」
 美冴さんはそう云ってくれたのだ。

 大丈夫だ、嘘はバレてはいない…

「あ、はい、喜んでっ」

 なんとか上手く京都旅行をして、彼女と無事に別れられそうである…

 俺はホッと胸を、撫で下ろす。

 そして二杯目の赤ワインをお代わりし、色々と話しをしていく。
 そして今日の記者会見の話題になる。

「結構、報道関係者も沢山来ていましたよ」
「そうなんだ、この間、証券会社が破綻したりしたから、経済的な話題が注目あるのかなぁ」
「そうかもしれないですね、明日の経済新聞にはデカデカと載るみたいですよ」
「そうかぁ、じゃあ、この『新規事業』も注目されるのかなぁ…」
「多分…」
「だったらさぁ、来春、この『新規事業』の発表も記者会見するのかな」
 美冴さんはそう訊いてきた。

「するんじゃないんですかね…」
 そう俺が返事をする。

「じゃあ、その時はゆかり部長がするのかしら…」
 その時俺はハッとした。

「そ、そうですよねっ、勿論、ゆかり先輩がやるんですよね」
「うわぁ、ゆかりさん美人だから、かなり注目されちゃったりして…」

「そうっすよねぇ…」
 俺は美冴さんの意見に納得し、そしてそれを想像し、興奮してしまう。

「す、すげぇ…」
 そして俺は今日、記者会見を見た時に思った事を美冴さんに話す。

 男なら、サラリーマンなら、一度はあの記者会見の場所に立ってみたい…と。

「そうよねぇ、ある意味、謝罪会見でない限りらは、サラリーマンの花形だものねぇ…」
 俺は黙って頷いた。

「ゆかりさんも、すごい注目浴びそうね…」
 そうなのである、あの若さで一流企業の部長であり、おそらくは『新規事業』の正式な発表と発信時には代表的なポジション、もしかすると役員にもなっているかもしれないのである。
 そしてあの美貌、美しさである、世の中が放っておかないかもしれない。


「すごい事になっちゃうのかも…」

 美冴さんもそれらを想像しているようで、感嘆の想いをしながらそう呟いたのだ…






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