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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 11 嘘…

 ただ俺には一つだけ心に重いモノが漂っていたのである…
 それは10日から13日までの二泊三日の例の彼女との京都旅行の事であったのだ。
 さすがに、正直な事は言えないし、かといって嘘も俺は上手くはない。

 だからといって嘘をつくしかなかった…

 そして俺はその京都旅行で彼女とキッパリと別れ様と思っていたのである。
 彼女とはちゃんと正式に付き合っていた感じではなかったのだ、だいたい月にすると2から3回、多くても4回、たまに逢って遊んで、セックスをする、そんな関係ではあったのだが、この京都旅行は彼女からの誘いであったのだ、多分、この旅行で二人の関係は動くのではないかと俺は考えていたし、美冴さんという存在が現れる前であったから、それなりには期待もしていた。

 だが、既に、もう美冴さんという存在を知ってしまったのだ、禁断の果実を囓ってしまったのである、例の彼女に対しての想いは薄らいでしまったのであった。
 かといって、この俺の優柔不断さが京都旅行を断り切れなかったのである。
 だから、何とか上手く旅行して、綺麗なカタチで別れようと調子の良い考えを持っていたのであった。

 仕方ない、この調子の良さも俺なのだ、だからといって二股はする気がなかったのだ、俺の美冴さんに対する想いは、あの『黒い女』のいきさつを訊いた瞬間から真剣になったのだ。

 決して美冴さんを軽くはみていないのであった…

 だから何とか無事に京都旅行をして、リセットをし、晴れて美冴さんとお付き合いをする。
 調子のいい考えではあるのだが、俺なりには真剣な想いなのであった。


「美冴さん、この連休の予定は…」
 俺は恐る恐る訊いたのだ。

「えー、うーんとねぇ…」
 美冴さんは手帳を開き、それを見ながら話し始める。

「明日、明後日は何もないけど、11日からはちょっとお墓参り系が重なるのよねぇ…」
 でねぇ、13日までお墓参り系だわ…
 そう話してきたのだ。

「13日まで…」
 俺は思わず呟いた。

「うん…そうなのよ…、意外に親戚系が面倒でさ、父親も亡くなってるし…」
 そして、あの彼も…
 と、その時だけは遠くを見る。

「健太さんは…」
 
 13日までか、ラッキーじゃないか…

「うん、俺も10日から13日まで忙しくて…」
 咄嗟に嘘が口から出たのだ…







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