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シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 17 家…

 この目だ…

 この美冴さんの欲情の目が、俺の心を掴んで離さないのだ…

「み、美冴さん…」
 そんな美和の事を想い浮かべ、考えていたら、美冴さんに突然、欲情のスイッチが入っていたのである。

 うん、おや…

 だが、今夜のこの目からはこの前のような、美冴さん曰く、自律神経の暴走的な激しい欲情のようにはなんとなく感じられない。
 なんとなく違う感じがしたのである。

「出ますか…」
 俺がそう言うと、美冴さんは黙って頷く。
 そしてビストロの外へ出ると、いきなり美冴さんは俺の腕に自らの腕を絡めてきて、カラダを寄せてきたのだ。

「健太さん…抱いてくれる…」
 そう美冴さんは囁いてきた。

「あ、は、はい…」
 俺は即答で頷く。

「でもね、今は、この前みたいな暴走じゃないのよ…」
 そうとも彼女は囁いてきたのだ。

「は、はい…」

 やはりそうか…
 この前とは目の輝きっていうか、潤みが全然違うのであった。

「わたしね、今ね、純粋に、健太さんに抱かれたいの…」
 そう想ったのよ…
 そう囁いてきたのである。

 ズキズキ、ドキドキ…

 やばい、俺は幸せだ…

 そんな美冴さんの突然の甘い誘いの言葉に、一気に心とカラダの疼きが昂ぶってきたのである。
 そして俺は慌ててタクシーを拾う。

「どこに…」

 どこのホテルにしようか…

 そんな意味で訊いたのだが

「健太さん家に行きたいな…」
 美冴さんはそう呟いたのである。

「えっ…」
 俺は驚いてしまったのだ。
 それは、まさかそんな言葉を云われるとは、夢にも思っていなかったからである。

「お、俺ん家でいいんですか…」

「うん…確か、ここから近いのよねぇ…」
 確かに近い。

 この西新宿からだったら、タクシーで10分かからないかも…的な距離である。

「き、汚いっすよ…」
「いいわよ、片付けしてあげるから…」

 片付けしてあげる…
 それは正に、彼女という存在になった女の言葉である。

 えっ、そうか、そういう意味なのか…

 美冴さんは本気で俺のことを…
 こんな嬉しい事はなかった。

「運転手さん、初台まで…」

 俺は気持ちを舞い上がらせながら、タクシー運転手に行き先を告げたのだ…






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