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　39　揺れる心

　つまりはこの急展開はいつもの、今までの自分の軽いナンパによる展開にしか感じられないのであったのだ。

　本来、この美冴さんとの関係は決してナンパではなく、仕事上の関係からのお互いの信頼、信用からの発展である事は自分でもわかってはいる。
　だが、まだ、三日目なのだ。
　そしてこの三日目で二回目の逢瀬なのである。
　そしてこの、今日までの流れの展開は決して無理な流れや、強制、無理矢理ではなく、至極自然で、普通で、この三日間の仕事上での関係からのお互いの心の想いの昂ぶりによる結果であるともわかってはいるのだ。

　だが、なぜか…
　
　手に付かないというか…

　地に足が着いていないというか…

　心が揺れて仕方がないのだ…

　この今現在、目の前の、いや、この自分の手の中で抱かれ、喘いでいる、この美しく、妖艶な美冴さんの実態感が、現実感がない、感じられないのである。

　それが今までのナンパという悪癖の、遊んできていた自分自身の弊害からによるモノのせいなのだとはわかってはいるつもりなのだが…

　ましてや決して男と女の関係は長い、短いの関係ではないのだ、という事もわかってはいるのだが…

　そして美冴さん自身も俺に対して真摯に向き合ってくれているのもわかってはいるのだが…

　なぜかまだ、俺自身の心がフワフワとしているのだ。

　たが内心わかっている事もあった。

　それはそれだけこの美冴さんに対する自分の想いが本気であるという事…

　そして今のこのフワフワとした自信のなさは、フラれたくはない、フラれたらどうしようか、という裏腹な想いの露われなのだ…

　これは過去のゆかり姫にも抱いていた想いであり、そのゆかり姫には俺自身にとっての突然の失踪的な留学で痛い程実感し、感じた失意の想いなのである。
　逆に、今までの遊んできた彼女達等には全く感じた事のない想いであるとも云えるのであった。


　だからこそ、早く、この手で、いや、この腕の中で美冴さんを快感の海の中に静め、美冴さんの俺に対しての愛情を実感したいのである…

　だから、なんとしても今夜はこの二人の間の主導権を握り、美冴さんを感じさせたいのである。

　いや、感じさせなくてはダメなのだ…

　美冴さんの心に俺という存在を深く刻み込みたいのである。