テキストサイズ

シャイニーストッキング

第6章 絡まるストッキング5 和哉と健太

 52 イケイケな…

 そして僕は真実(まみ)を連れて、バイト先のお店に行ったのだ。

「あれっ、和哉さんちぃース」
「あ、康くん、今日はホールなの…」
「はい、なんかホール足らないって言われてやってます」
 この康くんは高校二年生のアルバイトである。
 彼は将来、調理師になりたいのだ、という希望があってこのファミレスに働きにきていたのであった。
 そして夏休みだからと目一杯にシフトを入れていたのである。

 そんなこの康くんを見て僕は
 ああ、まるで五年前の僕と一緒だ…
 と、親近感を持ち、なにかと目を掛け、仕事上で面倒をみていたのであった。

 五年前の僕もあんな感じだったのかなぁ…

 彼、康くんを見ていてそう想い
 あの頃は、僕も、あんな子供だったんだ…
 と、感じていたのだ。

「和哉さん、彼女っすか、なんかイケイケで可愛い彼女さんですね」
「あ、うん、そうかなぁ…」

 真実が、イケイケか…

 確かに、バブル崩壊後でも弁護士界隈は自己破産者の急増や、不景気な世相を反映しての民事系等の案件が増え、更に弁護士バブルになっていると真実が云っていた。

『高卒でぇ、二年目なのにぃ、すごいボーナス貰っちゃったぁ…』
 と、この前の夏のボーナス時にもそう彼女は云っていた。

 確かに、真実はまだまだイケイケなのであろう…

 今夜の彼女は真っ赤なボディコン気味のワンピースに艶々の光沢のストッキングを穿き、そしてやはり赤いハイヒールを履いていた。
 そんな真実のファッションは、一緒にいるポロシャツにチノパン姿の僕とはあまりにみもアンバランスではあったのだ。

 でも、自分の彼女が褒められるのは悪い気はしない…


「やべぇっすよ、和哉さんの彼女さん、すっげぇいい女で羨ましいっすよ」
 高校生の康くんには余計に真実が眩しく見えるのであろう。

 僕自身もあの当時は、まだ、何も知らない時はそうであったから…

 そして僕は、そんな康くんの言葉に素直に喜んだのだ。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ