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シャイニーストッキング

第2章 絡まるストッキング1

 48 宿題

「あ、そういえば宿題は…」
「はい、勿論やってきました…」

 宿題とは…

 総合職であるこの越前屋と人事部の上野涼子の二人で、思いつく範囲と、自分達のネットワーク、そして今回の各部との会議での観察の結果でよいから、これから立ち上げる新規事業計画準備室のメンバーを約10名程、リストアップするように言いつけていたのである。
 そしてそのリストアップのメンバーを、ある程度している私のリストと照らし合わせ、新たに人選して行く予定にしてあるのだ。

「これです…」
「うむ、そうだ、この後上野涼子くんも呼びなさい、あ、あと、そう、あの子、うーんシステム部の…」
「あっ、はい、中島彩美ですね」
「そうそう、彼女も呼んで打ち合わせしよう」
「はい」
「そしてどこかの会議室でも、部屋でもいい、用意してそこでやろうか…」
「はい、わかりました」
 越前屋朋美は明るく返事をした。

 そうなのである、彼女こそが今回の吸収合併によるこの新規事業計画を一番に喜び、張り切っているのである。
 なぜなら、どんな理由があるのかはわからないが日本の超エリートコースである国家上級公務員試験という最難関の試験合格を蹴ってまでこの保険会社に就職したのであるからなのだ。
 そして本人も保険業界に思い入れがある、とまで以前言っていた位なのである。
 だから今回のこの新規事業計画に対する思い入れは只ならぬ筈なのである。
 そして彼女は私の言った二人に連絡をする。

 私、越前屋朋美、上野涼子、中島彩美の4人で小さな会議室を借り、そしてリストアップしてきたメンバーをパソコンで検索し、顔を確認しながら、チェックをし、人選していく。
 私が顔を確認した限りでは、何人かの顔は覚えていた、それらの皆、会議中に私を見つめ、昂ぶった目をしていた印象の記憶があったのだ。
 とにかく、ヤル気と気概溢れる人物が欲しいのである、そしてその人選がこの先に責任者となり新規事業計画を引っ張っていく佐々木ゆかり課長の為になるからである。

「よしっ、この8人、今から面接できないかな…」
「はい、じゃあ、とりあえずなんとか連絡してみます」
「あっ、出来るだけ内密にしたいのだが…」
「勿論分かってますよ」
 やはりこの越前屋くんは頼りになる。

 そしてこの面接は夕方一杯掛かってしまう。
 





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