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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 6 アンバランスな僕達

 コツ、コツ、コツ…
 夜道に美冴さんのヒールの音が響く。
 僕は完全に美冴さんの大人の女性の艶気に当てられ、そして焦燥感に押し潰されそうになっていたのだ。

 そんな僕は歩きながら横目で、隣で歩いているこの美しい美冴さんを見る。
 僕と彼女とは、微妙に間が開いていた。

 この微妙な間が五年間の距離であり、壁に感じてしまう…

 五年前…
 僕は高校二年生の17歳、そして美冴さんは32歳の人妻であった。
 あの頃も27、8歳に見えたのだが、今も、今夜も同じ位に見えるのだ。

 なんか美冴さんだけ時間が止まっているみたいだ…
 そして変わらぬ美しさ、いや、今夜の美冴さんはあの五年前より、そして昨夜より遥かに美しい…

 ドキドキドキ…
 高鳴りが止まらない。

 僕はこんな美冴さんを五年間も想って追い続け、そして一体何をしようと、いや、求めていたのだろうか…
 この美冴さんの妖艶な美しさが僕にプレッシャーと焦燥感を与え、そしてそれらに押し潰されそうになっていた。

「このイタリアンレストランでいいわよね」
「は、はい…」

「いらっしゃいませ…」
 僕達は奥の角の窓際の席へと案内された。
 店内にはカップルが四組、僕達で五組のお客がいる。
 そして僕と美冴さんが奥の席へと案内されて歩いて行くと、皆チラと横目で僕達を伺ってきた。
 他の四組のお客は20代の学生風と、社会人風のカップル客が二組ずつである。

 このカップル達はこのアンバランスな僕達二人を見て、どう思っているのだろうか…
 僕は座りながらそう考えていた。

「メニューです」
 やはりこの20歳代の女性店員も席へと案内しながら、この僕達を見てどう想い、いや、想像するのだろうか。

 きっと、おそらく、不釣り合いな、変な、もしくは怪しいカップル位に考えているのではないのだろうか…
 僕はそんなネガティブな思考に陥りつつあったのだ。

「何にしようか…」
 不意にメニューを見ながら美冴さんは僕に訊いてきた。

「あっ、え…」
 僕はすっかり動揺を隠せない。

 すると、美冴さんはそんな僕の心の動揺をすっかり見透かしたかの様な目をして呟いてきたのだ。

「もう、しっかりしなさいよ…
 和哉が誘ってきたんでしょう…」

 だが、怒ってはいない、目は笑っている…



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