
シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2
16 ありがとう…
だが和哉は、こうして少ないヒントを頼りにわたしを探し当ててくれたのである。
例えこれが悪戯好きな神様の操る、見えない蜘蛛の糸に絡まれての必然的な再会だとしても、いや、始めから不思議な筋書き通りだったとしても、今となっては何でもよいのである。
こうして今、五年間の月日を飛ばして再会した…
と、いう事実が大切なのである。
「和哉、ありがとう…」
今まで探してくれてありがとう…
なのである。
探してくれていたから、この再会があるのだ…
そしてあの最後の日のお礼が、こうして云える…
わたしは心からそう想っていた。
和哉には感謝しかない…
「えっ、ありがとうって…」
だが、和哉にはわからない筈であり、そしてこうして、不思議そうな顔をしてくる。
でも、わからなくていいの
わたしだけがそう思っていれば…
「お待ちどうさまです」
このタイミングでコースのメイン料理が運ばれてきた。
わたしは『真鯛のアクアパッツァ』
和哉は『チキンの香草グリル』である。
「あ、ミモザを…」
スパークリングワインとオレンジジュースを割ったやや弱めのカクテルを頼む。
これ以上の白ワインは今のまだ自律神経のやや不安定気味なわたしには危険であったのだ。
「とりあえず食べようよ」
わたしはにこやかに勧めた。
「あ、はい…」
どうやら和哉の緊張感もかなり治まったようである。
そしてまずは二人でメイン料理を堪能する。
まだまだ時間はたっぷりあるのだ。
夜はまだ長いのである…
「そういえば何学部なの…」
「え…
あ、ありきたりです…
経済学部の経済学科です」
「うふ、本当にありきたりだね」
思わず笑ってしまう。
「とりあえず駒沢大学なら何でもよかったんです」
「そうなんだ…」
「はい、たまたま高校の担任が駒沢大学出身で、その担任のお薦めのままに受験したんです…」
「ふうん、そうなの…」
「はい、とりあえず駒沢大学なら…という事だったんです」
ああ、わたしのせいだ…
五年前、寝物語で軽く実家の話しをした。
『実家はねぇ、駒沢大学の近くなの…』
このわたしのひと言が彼の進路を決めてしまったようなのだ…
だが和哉は、こうして少ないヒントを頼りにわたしを探し当ててくれたのである。
例えこれが悪戯好きな神様の操る、見えない蜘蛛の糸に絡まれての必然的な再会だとしても、いや、始めから不思議な筋書き通りだったとしても、今となっては何でもよいのである。
こうして今、五年間の月日を飛ばして再会した…
と、いう事実が大切なのである。
「和哉、ありがとう…」
今まで探してくれてありがとう…
なのである。
探してくれていたから、この再会があるのだ…
そしてあの最後の日のお礼が、こうして云える…
わたしは心からそう想っていた。
和哉には感謝しかない…
「えっ、ありがとうって…」
だが、和哉にはわからない筈であり、そしてこうして、不思議そうな顔をしてくる。
でも、わからなくていいの
わたしだけがそう思っていれば…
「お待ちどうさまです」
このタイミングでコースのメイン料理が運ばれてきた。
わたしは『真鯛のアクアパッツァ』
和哉は『チキンの香草グリル』である。
「あ、ミモザを…」
スパークリングワインとオレンジジュースを割ったやや弱めのカクテルを頼む。
これ以上の白ワインは今のまだ自律神経のやや不安定気味なわたしには危険であったのだ。
「とりあえず食べようよ」
わたしはにこやかに勧めた。
「あ、はい…」
どうやら和哉の緊張感もかなり治まったようである。
そしてまずは二人でメイン料理を堪能する。
まだまだ時間はたっぷりあるのだ。
夜はまだ長いのである…
「そういえば何学部なの…」
「え…
あ、ありきたりです…
経済学部の経済学科です」
「うふ、本当にありきたりだね」
思わず笑ってしまう。
「とりあえず駒沢大学なら何でもよかったんです」
「そうなんだ…」
「はい、たまたま高校の担任が駒沢大学出身で、その担任のお薦めのままに受験したんです…」
「ふうん、そうなの…」
「はい、とりあえず駒沢大学なら…という事だったんです」
ああ、わたしのせいだ…
五年前、寝物語で軽く実家の話しをした。
『実家はねぇ、駒沢大学の近くなの…』
このわたしのひと言が彼の進路を決めてしまったようなのだ…
