
シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2
17 ありきたりな…
美冴さんに突然…
『和哉が大好きだったよ…
ううん、和哉が大好き…
そして…
ありがとう……』
そう云われ、僕は思わず万感の想いに浸ってしまう。
もう充分なんじゃないのか…
そして、美冴さんのこの言葉により、僕の今までの五年間の迷走と、渇望の想いが全て報われた様に感じてしまっていたのだ。
そして、美冴さんの
大好きだったよ…
ありがとう…
この言葉に心が震えていたのだ。
「えっ、ありがとうって…」
だが、僕には、この
『ありがとう』
の意味がよくわからないのだ。
僕はあの日、あの時に、本当に美冴さんにとっての男としての役目を果たしたのだろうか…
だから、その『ありがとう』なのか…
意味がよくわからなくて、美冴さん目を見つめてしまう。
「お待ちどうさまです」
すると、このタイミングでコースのメイン料理が運ばれてきたのだ。
美冴さんは『真鯛のアクアパッツァ』
僕は『チキンの香草グリル』を頼んでいた。
「あ、ミモザを…」
そして彼女は三杯目のお酒を頼む。
意外にお酒を飲むんだなぁ…
そう、思っていたら
「とりあえず食べようよ」
と、こやかに勧めてきたのだ。
「あ、はい…」
この頃、ようやく僕の緊張感もかなり治まってきていた。
そしてまずは二人でメイン料理を堪能する。
まだまだ時間はたっぷりあるのだ。
夜はまだ長いのである…
「そういえば何学部なの…」
そう訊いてきた。
「え…
あ、ありきたりです…
経済学部の経済学科です」
「うふ、本当にありきたりだね」
美冴さんはそんな僕の答えに、思わず笑ったのだ。
本当にありきたり、普通なのである…
「とりあえず駒沢大学なら何でもよかったんです」
「そうなんだ…」
「はい、たまたま高校の担任が駒沢大学出身で、その担任のお薦めのままに受験したんです…」
「ふうん、そうなの…」
「はい、とりあえず駒沢大学なら…
と、いう事だったんです…」
本当の話しである。
ただ、ただ、単純に駒沢大学だったのだ…
五年前に、寝物語で簡単に美冴さんの実家の話しを訊いた記憶、たったこれだけで進路を決めたのだ。
別に目標も、憧れも無かったのである。
『実家はねぇ、駒沢大学の近くなの…』
美冴さんに突然…
『和哉が大好きだったよ…
ううん、和哉が大好き…
そして…
ありがとう……』
そう云われ、僕は思わず万感の想いに浸ってしまう。
もう充分なんじゃないのか…
そして、美冴さんのこの言葉により、僕の今までの五年間の迷走と、渇望の想いが全て報われた様に感じてしまっていたのだ。
そして、美冴さんの
大好きだったよ…
ありがとう…
この言葉に心が震えていたのだ。
「えっ、ありがとうって…」
だが、僕には、この
『ありがとう』
の意味がよくわからないのだ。
僕はあの日、あの時に、本当に美冴さんにとっての男としての役目を果たしたのだろうか…
だから、その『ありがとう』なのか…
意味がよくわからなくて、美冴さん目を見つめてしまう。
「お待ちどうさまです」
すると、このタイミングでコースのメイン料理が運ばれてきたのだ。
美冴さんは『真鯛のアクアパッツァ』
僕は『チキンの香草グリル』を頼んでいた。
「あ、ミモザを…」
そして彼女は三杯目のお酒を頼む。
意外にお酒を飲むんだなぁ…
そう、思っていたら
「とりあえず食べようよ」
と、こやかに勧めてきたのだ。
「あ、はい…」
この頃、ようやく僕の緊張感もかなり治まってきていた。
そしてまずは二人でメイン料理を堪能する。
まだまだ時間はたっぷりあるのだ。
夜はまだ長いのである…
「そういえば何学部なの…」
そう訊いてきた。
「え…
あ、ありきたりです…
経済学部の経済学科です」
「うふ、本当にありきたりだね」
美冴さんはそんな僕の答えに、思わず笑ったのだ。
本当にありきたり、普通なのである…
「とりあえず駒沢大学なら何でもよかったんです」
「そうなんだ…」
「はい、たまたま高校の担任が駒沢大学出身で、その担任のお薦めのままに受験したんです…」
「ふうん、そうなの…」
「はい、とりあえず駒沢大学なら…
と、いう事だったんです…」
本当の話しである。
ただ、ただ、単純に駒沢大学だったのだ…
五年前に、寝物語で簡単に美冴さんの実家の話しを訊いた記憶、たったこれだけで進路を決めたのだ。
別に目標も、憧れも無かったのである。
『実家はねぇ、駒沢大学の近くなの…』
