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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 37 心の迷走が終わる…


 本当に美しい、綺麗だ…

 突然失踪した美冴さんを、五年間追い続けていた僕の想いは間違いではなかったのだ。
 この美しさを追い続け、僕の心が、求めていたのである。

 そしてその美しさは、全く、この五年間という時間の流れを感じさせないのである。
 いや、むしろあの頃より若く見えるのだ…
 それには不思議な感じがしていた。

 だが、今まで追い続けてきて、本当に悔いはない。
 
 美冴さんを捜す…

 この僕の五年間の青春の、大学生活のテーマが、目標が、今夜、ようやく想いを遂げたのだ、いや、果たせたのである。

 あの五年前の美冴さんの突然の失踪の理由が分かった…
 
 そして、僕のこれからの進路であり、人生最初の岐路の進むべき道標も、美冴さんに委ねて、指し示されて、ハッキリと先が、進むべき道が見えてきた…


「全部スッキリできたの…」
 と、美冴さんが訊いてきたのだ。

「はい、全部スッキリしましたぁ…」
 にこやかに、軽やかに、僕は返事をする。

 本当にスッキリしていた…

「これで僕の五年間の心の迷走の時間が終わり、終わりにできます…
 そして明日から、新しい一歩を踏み出す事ができそうです…
 美冴さんありがとう…」
 僕は心から、感謝の気持ちを伝えた。

「そ、そんな、ありがとうだなんて…
 元はといえば、わたしがあんな消え方しなければ…」
 美冴さんが慌ててそう言ってくる。

「それは、もういいんです、それを云ってしまうとまた、堂々巡りになっちゃいますから…」

 本当にもういい…

「そうか…」
「はい…、それよりも、今も、いや、今迄以上に綺麗でいてくれてありがとうございます…」
 それは心から、本当にそう思い、そして感謝をしていたのである。

 こんな綺麗な、美しい、最高の女性を追い続けてきたのだ…
 
 完全な高嶺の花…で、あるのだ。

 そんな彼女が、美冴さんが、今、女神の微笑みを浮かべながら目の前に存在しているのだ。

 い、今なら、手を伸ばせば…

 と、届く…

 届くのだ…





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