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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 43 オスの欲情の言葉

 まさか、和哉は欲情をしてきたのか…


「あっ、ごめん、ちょっとトイレね…」

 少し和哉にそんな違和感を感じ、わたしは一度席を立ったのだ。

 ドキドキドキドキ…

 洗面台の鏡を見る。

「ふうぅ…」
 そして吐息を思わず漏らす。

 間違いない、和哉のあの目は、オスの、男の目だ…

 和哉は欲情してきている…

 わたしは鏡に写る自分の姿を見ながら自問自答をする。

 いつからだ…

 さっきまでは普通だった筈なのに…
 脳裏でさっきまでの和哉との会話を思い返し、逡巡をしていく。


『はい…、それよりも、今も、いや、今迄以上に綺麗でいてくれてありがとうございます…』
 あっ、あれからだ、そう和哉がわたしに感謝の意を込めて言ってきた時からだ…

 今迄以上に綺麗で…
 と、いう言葉がそうだったのか?…

 あの言葉で急に火が点いてしまったのだろうか…

 そういえば、和哉は
『もしも、わたしがもっと老けて、オバさん化してればよかったのに……』
 と、言っていた。

 あの言葉は、ある意味、逆の意味だったのだろう。
 つまりは
 もっとオバさん化していたら、簡単に諦めていた…
 と、いう素直に受け取ればそんな意味ではあるのだが、よくよく考えてみると、まだまだたっぷりと未練を感じてしまう…
 と、いう意味に取れるのである。

『美冴さんはこの五年間、まるで時間が止まっていたみたい…だ』
 こうも言っていたのだ。
 
 あの禁断の関係をしていた頃と、殆ど変わってはいない…
 と、いう嬉しい言葉ではあるのだが、ある意味それは
 あの五年前のあの僅かな期間にヤリまくっていた頃と全く代わっていない…
 と、いう、ある意味、そんな未練たっぷりの言葉とも云えるのではなかろうか。

 あの頃と、あのヤリまくっていた頃と代わっていない…
 つまりはそれイコール、ヤリまくっていたんだから、またヤリたい…
 と、いう事になるのではないのだろうか。

 それは単純な褒め言葉ではなかったのである。

 和哉の中で眠っていたオスの欲情を昂ぶらせるきっかけの言葉であったのだ…


 


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